今さらながらスーパーカブが大人気…男性にも女性にもお洒落なバイク

アニメ『スーパーカブ』が話題を呼んでいます。

主人公の女子高生小熊は、天涯孤独の少女。ある日、バイク屋で小熊は格安のホンダ・スーパーカブを購入します。

その日から彼女の日常は少しずつ変化する…というシナリオです。

スーパーカブは「蕎麦店かラーメン店の原付」というイメージが定着しています。

しかし、本田宗一郎はこのスーパーカブを「どんな服装の人でも、綺麗な靴を履いている人でも乗れるバイク」というコンセプトで開発したのです。

実はスーパーカブこそが、万人を引き立てる乗り物かもしれません。

本田宗一郎の最高傑作

自動車修理工だった本田宗一郎は、戦後に旧陸軍が放出した無線機用発電機のモーターを引き取って自転車に設置しました。

これが手軽な移動手段として認識され、宗一郎の会社は二輪車メーカーとしての第一歩を踏み出すのです。

既存の自転車に外付けのモーターを取り付ける発想は、次第に車体を自前で設計するという発想につながりました。

モーター即ちエンジンが大型化すれば、それに従って車体も大型化します。

つまり本田技研は、小排気量のバイクを作るところから始まったのです。

その中でもスーパーカブは、本田宗一郎最大の「作品」。

1958年から生産されているスーパーカブは、その基本設計を殆ど変化させずに今なお販売されている工業製品です。

日本だけでなく世界各国でも広く用いられ、もはや「現代人の足」と化しているといっていいでしょう。

このような乗り物は他に存在しません。

それ故に、スーパーカブには「業務用バイク」というイメージが根強くあるのも否めません。

確かに郵便や宅配の用途で利用するにはもってこいの車種だからです。

しかしホンダ宗一郎は、このスーパーカブを「ファッショナブルなバイク」と考えていた節があるのです。

靴を傷めないバイク

二輪車とは、元来「跨るもの」。

しかし、スーパーカブは足を大きく上げて跨る必要のない設計となっています。

かつて、本田宗一郎はこう言っています。

「これは、後ろに足を上げてまたぐオートバイじゃないぞ。前からまたぐクルマだ。スカートはいたお客さんにも買ってもらうクルマだ。邪魔なところに置くな」
(『語り継ぎたいこと』ホンダ公式サイト)

「邪魔なところに置くな」とは、燃料タンクに対して放っている言葉。

これを通常のバイクよりも後方に配置することで、ニーグリップの必要がない設計になったのです。

同時に、スーパーカブはあらゆる服装でも気軽に乗れるバイクとしてこの世に登場しました。

また、本田宗一郎はギアチェンジの機構にも工夫を加えます。

通常のバイクのギアチェンジはいわゆる「リターン式」で、左足の位置にあるチェンジペダルを踏み込んで1速に入れたあとは、つま先でそれを跳ね上げて1段ずつ上げていきます。

しかしこれでは、靴のつま先部分が摩耗したり傷んでしまいます。

生粋のライダーであれば左足の摩耗を誇りに感じるでしょうが、そうではない人にとってはどうでしょうか。

「せっかくの高級革靴を痛めたくない!」

そう考える人もいるかもしれません。

むしろ、多数派かも。

また、サンダルや雪駄を履いた足ではリターン式チェンジペダルを操作することはできません。

しかし、いや、だからこそスーパーカブの変速機構はつま先と踵で踏み下げる仕組みを採用しているのです。

従って、靴の甲の部分を傷つけてしまうことがないのです。

そしてスーパーカブ特有の自動遠心式クラッチは、左手側のハンドルに設置されるべきクラッチレバーを省略する効果ももたらしました。

これにより、免許さえ持っていれば誰でも手軽に運転できるほどの操作性をも実現させたのです。

バイクを「善き市民の乗り物」にしたホンダ

スーパーカブは、日本では「蕎麦店の業務用バイク」として定着しました。

このマシンに秘められたファッション性は、広大な太平洋を挟んだ大国アメリカで開花することになります。

ホンダのアメリカ進出は1959年のこと。

この当時のアメリカではハーレー・ダビッドソンやインディアン、トライアンフの大型マシンがハイウェイを疾走していました。

そしてそれに跨る男たちは「ブラック・ジャケット」と呼ばれ、一般市民から恐れられていたのです。

スーパーカブはそれを変えました。

「不良の乗り物」だったバイクを「善き市民の乗り物」にしたのです。

当時の広告のキャッチフレーズ「YOU MEET THE NICEST PEOPLE ON A HONDA」が、それを物語っています。

最近のスーパーカブは、カラーリングも現代的かつお洒落になっています。

街乗りならばこれで十分ではないか?と思わせるほどです。

あらゆる服装や履物に対応できるバイク、スーパーカブは今日もどこかで華麗に風を切っています。

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