東京・渋谷で開かれたアイドルグループ「ZOC(ゾック)」のライブは熱気に包まれていました。

埋め尽くしたファンがステージに視線を送ります。

その先には躍動する戦慄(せんりつ)かなの(21)の姿がありました。

少年院上がりのアイドル

少年院上がりのアイドル…戦慄の名を世に知らしめたのはその異色の経歴です。

母親の育児放棄も、非行に走った過去も、既にカミングアウトしているのです。

「人生全部を応援してくれるファンがいるから、私はここに立てている」

感謝とともに胸にあるのは、メディアへの露出です。

自らが経験した児童虐待などの問題に対する関心をもっと高めたいとの願いからなのです。

大阪生まれ。

小学校に入学して間もなく両親が離婚。

東京に移り住みました。

待っていたのは母親の育児放棄と暴力。

交際相手との海外旅行で1週間帰らず、年子の妹と水道水で空腹をしのいだこともあったそうです。

しゃもじで体をたたかれ、みみず腫れができた日は数え切れなかったようです。

それでもひたすら耐えました。

学校に逃げ場はなくいじめを受けます。

生きたいと思えず、中学2年の時、授業中に校舎3階から突如飛び降り、手足を骨折したのです。

何をやってもだめと、自分を肯定できなくなっていました。

非行の道に足を踏み入れたのもその頃。

窃盗集団に加わり、化粧品などの万引きを繰り返しました。

出会い系サイトで見えない相手とのやりとりも始めたのです。

高校に入り、秋葉原に通うようになって「JK(女子高生)ビジネス」に手を染めます。

約200人を束ね、彼女らの下着を売って稼いだのです。

高校はすぐに退学しました。

一連の非行が知れ、2014年冬、16歳で少年院に入ります。

教官に反抗する日々。

同世代が青春を謳歌おうかしている時間を「外の世界」で過ごせない焦りが襲います。

一方で

「外に出た時に何も残っていないのが一番悲しい」

とも思います。

本を読みあさり、大学受験資格を得られる高校卒業程度認定試験に合格したのです。

忘れられない出会いもありました。

ベテランの女性教官がいろいろな本を貸してくれたのです。

時には衝突もあったそうです。

コップを壁に投げつけて割った戦慄に対し、教官は怒って椅子を振りかざしたのです。

戦慄は

「先生がそんなことしていいのか」

と泣いて抗議。

しかし、自分に本気でぶつかってくれた気がしてうれしかったのです。

「この人をがっかりさせたくない」

と思える大人ができた瞬間です。

少年院を出てから

16年春に退院。

アルバイトに励み、少年院の教官を目指して大学の法学部に入学します。

転機は、挫折の連続から脱却したいと挑戦した出版社主催のアイドルオーディション。

選考で少年院出身と告白したのです。

テレビ番組の出演依頼が相次ぎ、自分っぽいと芸名を「戦慄」としました。

昨年から新しく始めたことがあります。

子ども支援の活動です。

月1回、子ども食堂などに収益を寄付するトークイベントに出演しています。

昨年1月設立の子ども支援のNPO法人「baeベイ」代表理事の顔も持ちます。

baeはネットスラングで「家族」「親友」などの意味。

つらかった時、戦慄には逃げ込む場所がありませんでした。

相談できる人もいなかったのです。

「同じ経験をしている子どもがいると、居ても立ってもいられない」

と、シェルター開設を検討しています。

少年院出身だからこその夢もあります。

在院中の就労支援もできればと構想は膨らむばかり。

「地に足をつけて」

大切な信念の言葉の通り、取り組みを一歩ずつ実現していきたいと誓うのです。

Twitterでは仲間を擁護

2019年12月24日にツイッターを更新。

所属するグループ「ZOC」から脱退を発表した兎凪さやかさんへ寄せられる一部の声に対して怒りを露わにします。

23日、週刊新潮のウェブ版「デイリー新潮」が、兎凪さんが19歳当時に飲酒・喫煙を行っていたとの記事を配信。

ZOC運営は記事内容が事実だと確認。

この日のうちに、兎凪さんの脱退を発表しました。

兎凪さんもツイッターを通じて、

「このような形で皆様を悲しませてしまい本当に申し訳ありません」
「期待を裏切る結果になってしまい本当に申し訳ありませんでした」

と謝罪したのです。

リプライ欄などを見ると、総じて脱退を惜しむ声などが目立ちます。

しかし、中には目に余るものがあったのです。

脱退発表後沈黙を守っていた戦慄は24日ツイッターを更新。

「さやは悪いことしたけど責任とって辞めたしお前らに迷惑かけた覚えはないからお前らが被害者ヅラすんな どんな屁理屈並べたってさやのこと傷つけていい理由にはならないだろ人間として終わってんなマジで」

と、語気を強めたのです。

ファンからは、

「やっぱりかなのちゃんはいつでもかっこよくて正論言ってくれて好き」
「メンバーの尊厳を守れるかなのちゃんはとってもかっこいいです」
「ありがとう、、!かなのちゃんほんとにありがとう、、」

といったリプライが寄せられています。

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