クレカもカードなしの時代へ…「セゾンカードデジタル」が目指す新時代

完全番号レスのクレカ「セゾンカードデジタル」が目指す、カードなしのクレジットカード

クレディセゾンが2020年末に提供を開始した「セゾンカードデジタル」。

券面の表にも裏にも一切番号を記載しない「完全番号レス」カードです。

国内初となるこの仕組みはどうやって生まれたのでしょうか。

スマホを軸にして悩みや不安を解消

「ありとあらゆる金融商品がスマホに集約されている。スマホを軸にしてユーザーの悩みとか不安を解消できるようなサービスは何か?」

セゾンカードデジタルの開発にあたって持っていた課題感を、クレディセゾンの吉村真由香氏(ペイメント事業部 戦略企画部)はこう話します。

2019年12月頃からこれらについて議論していく中で、3つの「スマホ対応」が浮かんできました。

次の3つです。

  1. スマホで完結 5分で番号発番
  2. スマホで番号確認 プラスチックカードは初の番号レス
  3. スマホで利用をプッシュ通知。カードの停止も

番号レスが話題ですが、そのポイントは「スマホ」にあります。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

スマホから5分で発番、そのままApplePayの登録も

さまざまな個人情報を入力して送信したら、数日の審査があり、それからしばらくしてプラスチックのカードが送られてきます。

これが一般的なクレジットカードの発行の流れです。

一方で、セゾンカードデジタルでは、本人確認は身分証明書をカメラで撮影するeKYCまたはオンライン口座受け付けにて行います。

受付完了や審査完了の案内もすべてメール。

法定書面もスマホでダウンロードするという徹底ぶりなのです。

これにより、最短5分での番号の発番を可能にしました。

もともとクレディセゾンはクレジットカードの店頭即時発行を2000年代はじめから行っており、審査スピードについてはノウハウを持っています。

パルコのスマホアプリ「POCKET PARCO」では、アプリ内でカード発行を依頼すると、

すぐにQRコードが発行され、それを使ってパルコ内での買い物がクレジットカードでできる仕組みを用意しているのです。

セゾンカードデジタルでは、それを特定の店舗を限らず、汎用的に使えるようにした仕組みだといえます。

番号が発行されたら、そのままApple Payにも登録できます。

まさに発行から5分後には、スマホでクレカ決済が利用できるようになるわけです。

国内初の完全番号レス

20年には、三井住友カードが表面からカード番号を消して話題になりました。

しかしセゾンカードデジタルでは、裏面にもカード番号がありません。

印字されているのは名前だけです。

「カードに情報を載せないのが目的。本当は名前もなくてもよかった」。

クレディセゾンの荻原勇佑氏(ペイメント事業部 戦略企画部)はそう説明する。

カードのデザインを決めるにあたっては白一色にセゾンのロゴだけを載せるシンプルなものを採用しました。

「アライアンスを組んで拡大していきたいので、色が付いていないほうがいい」(吉村氏)

という狙いです。

国際ブランドとしてVisa、Mastercard、JCB、アメリカン・エキスプレスと大手を網羅していますが、「各ブランドでのデザインの自由度は高い」と吉村氏。

「そもそもカード番号を入れないということに関して、ルールがなかった」(荻原氏)と、国際ブランドにとっても想定外の取り組みだったようです。

これからの差別化はプッシュ通知

3つ目のスマホアプリ「セゾンポータル」へのプッシュ通知は、これからのクレジットカードの必須要素であり、他のカードとの大きな差別化要素になる点でしょう。

カードを利用すると金額の多寡によらず、ほぼリアルタイムでアプリに通知を送ります。

カードの与信確認情報(オーソリ)を使って利用を判断しているため、

QUICPayのように一定金額まではオーソリが行われない支払い方法では都度の通知はないのですが、通常利用ならばすぐに手元で利用金額を確認できます。

同様の仕組みは、プリペイドカードの「Kyash」が採用し、三井住友カードも表面番号レスのカードとともにサービスを開始しました。

三井住友カードがLINEと組んで提供している「Visa LINE Payクレジットカード」ではLINEに通知が届きます。

主に不正利用があった場合に、利用者がすぐに気づけることが狙い。

「意識が高まっている。気にしている」と荻原氏は、プッシュ通知の重要度が高まっていることを話しました。

次の展開、アライアンス

セゾンカードデジタルの次の展開は、他業種との連携です。

昨今サブスクリプションサービスが流行していますが、その最大の課題は支払い方法にあります。

クレジットカードを持っていても、番号などを都度登録しなくてはいけませんし、クレジットカードを持っていない場合、まずは新規発行からしなくてはならないのです。

ここでセゾンカードデジタルの「スマホで5分で発行できる」点が生きてきます。

例えば、サブスクリプションサービス申し込みの画面で、「セゾンカードを発行して申し込み」というようなボタンを表示させ、

それを押してカードに申し込めばカード情報が先方の決済に自動的に入力されるイメージです。

実際、Apple Payの登録では、ユーザーはカード番号を一切入力することなく登録が完了し、利用できるようになっています。

接続のためのAPIも用意してあり、サービス側と調整すれば、こうした世界が実現することになるのです。

現在はカードを発行するとプラスチックカードが手元に送られてくるのですが、「プラスチックカードの発行を選択性にすることは視野に入れている。そんなに先の話ではない」と吉村氏。

一切手元にカードが届かないクレジットカードが生まれるわけです。

セゾンカードデジタルの発行は順調だ。「SNSなどでナンバーレスカードが話題になった。高めの目標を立てているが、初動は悪くない」と吉村氏。

スマホというデバイスが、クレジットカードの“カード”自体をなくしてしまうのも、遠くなさそうです。

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