新型コロナウイルスに感染し、3月29日に肺炎で亡くなったコメディアンの志村けんさん(70)。

訃報を受け、「アイーンが志村さんを指す手話である」という情報がネット上で広がっています。

言い得て妙

いわゆる標準手話ではないものの、あだ名のような「サインネーム」として用いられているというのです。

その裏側にある聞こえない人たち、ろう者の志村さんへの思いを聞きました。

志村さんの訃報を受け、ネット上で広がったのは

「手話ニュースで志村けんさんを表現する時にアイーンしててびっくりした」というツイート。

3万リツイートされるなど拡散しています。

実際、そのような放送があったのか…。

手話ニュースを検証したJ-CASTニュースによると、3月30日にEテレで放送された「NHK手話ニュース」でキャスターがそうした仕草を取っていたのです。

ただし、「アイーン 」が手話で志村さんを指す単語というわけではありません。

全日本ろうあ連盟の担当者は、BuzzFeed Newsの取材にこう指摘します。

「標準手話としての単語ではありませんが、志村さんを代表する表現、『サインネーム』のように使われる方もいらっしゃいます」

標準手話とは、日本手話研究所が定める公式単語。一方でサインネームとは、特定の人物を指す「あだ名」のようなもの。

たとえば、佐藤さんであれば「砂糖」を表現してみたり、顔が赤い人のことを話すときに「ほっぺたに指を当てる」表現をしてみたりするのです。

著名人であれば加藤茶が「加トちゃんぺ」で、ビートたけしが「コマネチ」で表されることもあるということです。

もちろん、相手がそうしたギャグを知っていなければ、サインネーム によるコミュニケーションは成り立ちません。

担当者は言います。

「このように苗字や固有名詞なども手話化するものがありますが、大切なのは、相手がその表現を知っているかという点です。そのため、地域や年代によってサインネームの表現も変わります。手話は生きた言語なんです」

さすがお笑い界の大御所ですね。

「志村さんの番組で救われた」

多くのろう者たちがサインネームとして「アイーン 」を使っているということは、志村さんが老若男女の誰もが知る存在であったことを意味します。

また、志村さんのギャグが「音がなくても楽しめた」と言う声もろう者から寄せられているのです。

「今、思うと志村けんさんは先駆けで笑いを通して音の無い世界と、音のある世界の架け橋を作ってくれたんだと思います。志村さんの番組で救われた、聞こえない人たちは多かった」

ろう者で俳優、ダンサーの大橋ひろえさんは、BuzzFeed Newsの取材にこう語っています。

「テレビに字幕がない時代、聞こえる家族たちのうち私だけが一家団欒でも楽しめなかった。でも、『8時だよ、全員集合!』だけは、聞こえない私でも見て分かる笑いで家族と一緒に楽しめる娯楽番組でした」

「私の笑い声に家族は驚き、嬉しかったはずです。母と一緒に、早口言葉で『生麦 生米 生たまご』をやったり、『カラスの勝手でしょ』も歌ったりして言葉の発音練習を生かしていました。発音の練習が大嫌いだった私は楽しくやっていたので素晴らしい教材だったと思います」

天国でも神様を

毎週土曜日の夜が待ちきれず、「始まる前にテレビの前で座っていた」という大橋さんは、こうも当時を振り返る。

「ドリフのコントは言葉ではなく、動きや感情、ドラマが繰り広げられてたくさんの笑いを届けてくれました。耳が聞こえないところは視覚から入るすべての情報が頼りだったので、会話や友達の作り方は漫画本とドリフの番組から無意識で学んでいました。私の心は自然とドリフと共に育っていったんです」

そんな愛すべき存在だったからこそ、突然の訃報にはショックを受けているという大橋さん。

その死を、こう悼んでいます。

「時間が止まったように衝撃で、体中に力が抜けました。『だいじょうぶだあ』と回復すると信じていたのに。あまりにも無念で、どうしていいのかわからず混乱してしまいました」

「この不安定な日本の中で、志村けんさんの笑いがある限りはまだ、日本人の心が元気というバロメーターのような存在だったと思っています。いつも笑いを一生懸命に、私たちが腹がよじれるほど笑わして下さったことに感謝しています。天国で、神様をも笑わしてほしいです」

映像が多く残されていることから、「志村けんの笑いは消えない」とも語ります。

しかし、DVD化されているものの多くに字幕がついていないといい、「非常に残念です。字幕を付けてほしいです」と訴えていました。

ネットの反応

「今、志村さんの追悼番組見て、大笑いしています。ドリフ大爆笑やはり面白い!今風の人を騙したりするのと違い、食べ物を粗末にする面もありますが、カトちゃんとの掛け合いは、特に面白いです!」

「確かにヒゲダンスは動きだけだし、「最初はグー」も見ているだけで分かる。早口言葉も模造紙に書いてあったし。すごい番組だったんだなぁ。」

「海外のファンの方も言葉云々寄りも動作が面白かった。わかりやすかったと、答えておられた。多分そんな感じなのだろう。戦われたが、呆気なく逝ってしまわれたのが残念でならない。」

カトちゃんの弔辞は、高木ブーの下りで吹き出しました。やっぱりドリフはおもしろい!

NHKの八百谷梨江さんもいい仕事しましたね。

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