宍戸錠さん主演映画「殺しの烙印」がベネチア映画祭でアジア映画初の最優秀復元映画賞受賞
世界3大映画祭の1つ、ベネチア映画祭授賞式が9月10日(日本時間11日)イタリアで行われました。
クラシック部門に選出された、宍戸錠さん主演の1967年(昭42)の「殺しの烙印」(鈴木清順監督)4Kデジタル復元版が、アジア映画として初の最優秀復元映画賞を受賞。
10日は製作・配給の日活の創立記念日で、翌23年は鈴木清順監督の生誕100年という、節目のタイミングでの快挙となりました。
目次
クラシック部門は2012年設立
クラシック部門は、12年に設立されたベネチア映画祭の1部門で、過去1年間に復元された名作の中から特に優れた作品が選出されます。
日本映画はこれまで「七人の侍」(黒澤明監督)、「お茶漬の味」(小津安二郎監督)、「山椒大夫」(溝口健二監督)、「無法松の一生」(稲垣浩監督)などが選ばれてきました。
5日のワールドプレミア上映にも参加した、日活の林宏之執行役員がコメントを発表しました。
「昨年の『(秘)色情めす市場』4Kデジタル復元版に続いて今年のヴェニス・クラシックスには本作と今村昌平監督『神々の深き欲望』4Kデジタル復元版の2作品が選出されておりましたが、当社創立110周年を迎えるまさにその日に、アジア映画初の最優秀復元映画賞受賞という栄誉に浴し、これ以上の喜びはありません。現地での上映は大変盛り上がり、作品の内容はもちろんのこと、その高い修復技術にも注目が集まりました。また今回新たにデザインしたポスターや配布したリーフレットも高い評価をいただきました。鈴木清順監督や主演の宍戸錠さんをはじめ、本作に関わった偉大な先輩たちに改めて敬意を表したいと思います」
ベネチア映画祭。日活がクラシック部門で出品した鈴木清順監督『殺しの烙印』(1967)が、最優秀修復映画賞。これは嬉しい。現地で見ましたが、宍戸錠のお米を炊く匂いのシーンがイタリア人にも受けてました。 https://t.co/9t3YvOEd9Y
— 林瑞絵 (@mizueparis) September 10, 2022
スタイリッシュなハードボイルド作品
「殺しの烙印」は、宍戸さんがクールな殺し屋を演じるスタイリッシュなハードボイルド作品。
プロの殺し屋ランキングNo.3の花田五郎(宍戸)は、組織の幹部を護送する途中でNo.2とNo.4の殺し屋たちに襲撃されながらも任務を終え、殺し屋No.2へランクを上げます。
さらに上を目指す花田でしたが、次の仕事で失敗すると、組織は美女中条美沙子(真理アンヌ)を差し向けるのです。
花田は美沙子とひかれ合う一方、殺し屋No.1の大類進(南原宏治)とトップの座をかけて対決します。
問い合わせ相次ぐ
5日のワールドプレミア上映では、映画の代表的なシーンでとして知られる、宍戸さんが炊飯器から炊きたての米の匂いをかぐ名場面など、幾つのもシーンで笑いが起こり、上映後は拍手が巻き起こるなど反響は上々。
鈴木監督は、クエンティン・タランティーノ、ジム・ジャームッシュ、デイミアン・チャゼル、ニコラス・ウィンディング・レフン、ポン・ジュノ、パク・チャヌク、ウォン・カーウァイら、世界各国の著名な監督からもリスペクトされており、17年2月に亡くなってから5年たった今も知名度は高いです。
「殺しの烙印」も現在、イタリアや米国など数十カ国で配給されているのですが、ベネチア映画祭での上映を機に、ヨーロッパ各国の配給会社から、さらなる問い合わせが相次いでいるそうです。
『殺しの烙印』の宍戸錠。 pic.twitter.com/p4Mifir5lQ
— ペペロンチーヌ@9/25MSMW戸田 (@peperon227) September 10, 2022
ネットの声
「ポスタービジュアルの炊飯器いいな。この作品、飯を炊くときの匂いが大好きなな殺し屋の物語である。名作ですよ。」
「赤木圭一宍戸錠小林旭の活躍した無国籍アクション映画は面白いんだよなあ。今見るとツッコミどころ満載だけど。」
「本物の映画スターだわ…それに引きかえ息子は残念な存在でしかない。」
「岡本喜八監督の「殺人狂時代」「ああ爆弾」に匹敵するカルト映画です。大好きな映画ですが、まぁ個人的な趣味ですから 普通の人にはお奨めしません。」
「昔の写真集みたいな白黒の映像だからアートとして観ることは出来ても、カラーだったら現実的との落差でとても耐えられないな。内容は支離滅裂で何が何やら意味不明である。簡単に言ってしまえば監督とスタッフの独りよがりな作品。今となっては不可能にしても、封切り当時の観客に感想を聞いてみたいもんだ。」