弁護士、司法書士、行政書士、弁理士…士業にもいろいろあるけれど

弁護士、司法書士、行政書士、弁理士、覚えておきたいそれぞれの仕事と相談すべき内容

専門的な業務を取り扱う「士業」には、様々な種類があります。

どの士業に相談すればよいか、迷ったことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

各士業は、業務分野に重なる部分もある一方で、それぞれ得意分野が異なります。

ここでは、弁護士、司法書士、行政書士、弁理士の4士業について、取り扱う業務の内容と相談すべきケースをまとめました。

弁護士の業務分野・相談すべきケース

弁護士は、法律に関連する業務を全般的に取り扱うことのできる専門職です。

個人であれば離婚・相続・近隣トラブル・労働問題・債務整理など、事業者であれば契約書のチェック・労務管理・クレーム対応・コンプライアンスチェックなど、様々な業務を弁護士に依頼できます。

弁護士の最大の特徴は、紛争解決を制限なく取り扱うことができる点です。

例えば、

・内容証明郵便で損害賠償請求を受けた
・裁判所から訴状が送られてきた
・他人に対して損害賠償などを請求したい
・消費者詐欺の被害に遭ってしまった

など、具体的なトラブルを解決しなければならない場合は、弁護士に相談しましょう。

その他、法律に関連する内容であれば、ひとまず弁護士に相談すれば、その場で解決に向けたアドバイスを得られる可能性が高いです。

司法書士の業務分野・相談すべきケース

司法書士は、登記・供託に関する業務を中心的に取り扱う専門職です。

特に登記に関する業務は、司法書士が最も得意とする分野になります。

例えば、

・不動産を購入するので、所有権移転や抵当権設定の登記手続きを依頼したい
・会社で新たに株式を発行するので、新株発行に関する登記手続きを依頼したい

といった場合には、司法書士に相談するのがよいでしょう。

また司法書士は、法務大臣所定の研修を修了することで「認定司法書士」となり、請求額が140万円以下等の要件を満たす紛争解決の業務(簡裁訴訟代理等関係業務)を取り扱うことができます。

認定司法書士は、弁護士よりも業務範囲が限られている反面、依頼費用は弁護士よりも安い傾向にあります。

そのため、

・少額かつシンプルな損害賠償請求等を、専門家に安く依頼したい

という場合には、認定司法書士への依頼も選択肢の一つとなるでしょう。

行政書士の業務分野・相談すべきケース

行政書士は、官公署に提出する書類や、権利義務・事実証明に関する書類の作成などを取り扱う専門職です。

弁護士や司法書士が一般的に取り扱わない業務を依頼したい場合は、行政書士への相談を検討しましょう。

例えば、

・自動車のナンバー変更や名義変更をしたい
・日本国籍の取得を希望する人が帰化申請を行いたい
・日本の在留資格を取得したい
・農地の活用に関する手続きを行いたい

といったケースでは、行政書士への相談をご検討ください。

なお行政書士は、契約書や遺産分割協議書などを作成することもできます。

しかし、書類作成に必要な範囲を超えて法律相談を受け付けたり、相手方と契約交渉を行ったりすることはできません。

法律相談や契約交渉の代理を依頼したい場合には、弁護士(または認定司法書士)への相談をご検討ください。

弁理士の業務分野・相談すべきケース

弁理士は、知的財産権に関する業務を取り扱う専門職です。

特許・実用新案・意匠・商標などの出願業務は、弁理士と弁護士が行うことができます。

しかし、出願業務を本格的に取り扱う弁護士はほとんどいないため、事実上弁理士の独占業務となっています。

例えば、

・最新技術を用いた発明をしたので、特許出願をしたい
・建築物のデザインについて、意匠出願をしたい
・新しくサービスを開発したので、サービスの名称について商標登録をしたい

といった場合には、弁理士への相談が第一の選択肢となるでしょう。

どの士業に相談すべきか迷ったらどうする?

各士業の業務範囲の違いは、一般の方には分かりにくい部分も多いため、どの士業に相談すべきか迷ってしまうケースもあるでしょう。

ワンストップで何でも相談したいという希望がある場合には、ひとまず弁護士に相談するのが最も安心です。

法律に関連する業務であれば、弁護士は幅広く対応できます。

また、弁護士自ら取り扱っていない相談内容についても、隣接士業を紹介してもらえるでしょう。

予算等の関係で、弁護士に相談することに抵抗がある場合は、弁護士との連携が整っている認定司法書士に相談するのがよいでしょう。

認定司法書士は、弁護士に次いで幅広い範囲で法律事務を取り扱えます。

金額の大きな紛争解決業務等は取り扱えませんが、弁護士との連携があればスムーズに紹介を受けられるでしょう。

なお、本来取り扱うことができない業務を、対応可能と称して取り扱う違法業者も一部存在します。

例えば、行政書士が契約交渉の代理をする行為は、弁護士法72条違反の「非弁行為」に該当します。

特に、弁護士以外の士業に相談する場合には、非弁行為を働く違法業者に十分ご注意ください。



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