新型コロナウイルスの感染拡大により、新卒採用市場で一躍注目を集めた採用手法があります。

企業がウェブサイト上で学生に直接オファーを出す「スカウト型採用」です。

コロナ禍において企業説明会が軒並み中止となる中、学生との接点を求めてスカウト型採用サービスに登録する企業がえています。

ここ数年、人材獲得に苦戦する中小・ベンチャーを中心に企業の需要が高まってきていた中で、思わぬ追い風を受けた格好です。

一方、同サービスに登録する学生からは期待と実際に届くスカウトの内容とのギャップに対する不満が漏れるなど課題も残ります。

スカウト型採用とは…

スカウト型採用(ダイレクト・リクルーティング)サービスは、学生が自己PRや目指したいキャリア像などをウェブサイト上に登録し、企業はそうした情報を見て関心を持った学生にメッセージを送り、採用選考につなげるというものです。

学生は自分の知らない企業に出会ったり、スカウト内容によって自分の適正を確認したりして就職活動の幅を広げられるメリットがあります。

企業は説明会や採用エントリーを経ずに自ら学生との接点を持てる点がメリットになります。

具体的なサービスとしては「OfferBox(オファーボックス)」や「キミスカ」「dodaキャンパス」などが知られています。

「新型コロナの影響で企業の利用も学生の登録も増えた。就活イベントが中止になって(企業と学生の双方が)新しい出会いを(スカウト型に)求めたからだ」。

スカウト型採用サービス「オファーボックス」を運営するi-plug(アイプラグ、大阪市淀川区)の中野智哉社長は、例年にない反響の背景をそう説明します。

3―4月上旬にかけての登録企業数は前年比2倍に増え、5月上旬における学生の登録数も前年比で倍増しています。

多くの企業はこれまで就活イベントに出展したり説明会を開催したりして選考に参加する学生の母集団を作っていました。

しかし今年はコロナ禍によって軒並み中止になり、母集団形成の機会を失ったのです。

そこでスカウト型採用に学生との接点を求めました。

こうした反響を実感する声は同業他社からも相次いています。

「dodaキャンパス」を運営するベネッセi-キャリア(東京都新宿区)は

「企業の申し込みは2月の100社に対し4月は400社以上と跳ね上がった」(大竹航取締役)と明かします。

「キミスカ」のグローアップ(同新宿区)も「4-5月の問い合わせが前年比2割増だった」(末松怜央新卒事業部広報・学生チームリーダー)ということです。

コロナ禍における登録企業数の急増はあくまで特需といっていいでしょう。

とはいえ、スカウト型採用の存在感を高める好機とも捉えられています。

特にコロナの影響により学生との直接の接触を減らす目的でウェブ面接を導入する企業が相次ぎ、コロナの感染拡大が収束した後も一般化する見方が強まっているのです。

各社はこの動きを追い風と見ています。

ベネッセi-キャリアの大竹取締役は

「ウェブ面接では相手の雰囲気を掴みにくいため、エントリーシート(ES)などの事前情報が今まで以上に重視される。スカウト型採用サービスはそうした情報が充実しており、需要が増す」と見込んでいます。

アイプラグの中野社長は

「ウェブ面接は(集団面接が難しいため)個別対応が主流になる。すると選考対象の学生を事前に絞る必要がある。そこで誰と会うのか、スカウト型は(精緻な)検討に役立つ。利用したい企業は増えるのではないか」と期待するのです。

徐々に高まりを見せていた

そもそもスカウト型採用は、人口減少に伴う求人倍率の上昇などを背景に年々関心が高まってきていました。

リクナビやマイナビといった総合ナビサイトに情報を掲載しても認知度が低く人材を獲得しにくい中小企業やベンチャーのほか、企業イメージゆえに応募が見込みにくい人材を獲得する狙いで、大手の利用も広がってきたのです。

「例えば教育系企業でも今の時代はITエンジニアが必要だが、理系学生は自分の仕事がそこにあるとは思わず、応募しない。スカウト型はそうした課題を解決できる」(ベネッセi‐キャリアの大竹取締役)というわけです。

こうした中で、コロナ禍を契機にした選考のウェブ化が利用拡大の動きを加速させようとしています。

一方、就活市場でシェアを高める上では課題も残るのです。

登録する学生からは企業のスカウトの内容に対する不満も聞かれるというのです。

ある私立女子大の学生は

「自分が知らない企業に出会えることを期待して登録したが、志望する業界からのスカウトがなかなか届かず積極的に使う気になれなかった」と漏らします。

国立大の女子学生も「実際に来るスカウトに魅力がないため、就活に生かしたことはない」と…。

こうした課題の解決に向けて、学生が登録する情報の充実は欠かせません。

アイプラグの中野社長は「学生が興味関心を書き込みやすいように改善を続ける。学生の考えを可視化できるように質を上げたい」と意気込みます。

また、ベネッセi‐キャリアの大竹取締役は

「学生の大学における学習成果や向き合っている内容を盛り込んで企業に評価軸として示し、学生の着実な努力が把握できる状況を作りたい」と力を込めるのです。

採用率は3%台

学生や企業の意識付けも重要になります。

グローアップの末松広報・学生チームリーダーは

「(適切なスカウトを受けるために)学生は自身の価値観や考え方を表現する力を養成する必要がある。我々としてはセミナーなどを通して手助けしていきたい。一方の企業も学生の入社時期に必要とする人材を明確にしないといけない。毎年同じ採用基準というのは本来おかしい」と指摘します。

また、企業に対しては

「エントリーを受け付けた学生と自らスカウトを出した学生は選考のプロセスが異なる。例えばスカウトした学生に志望動機を聞くのは本来おかしい。(スカウト型採用を上手に利用するには)選考プロセスをしっかり設計する必要がある」(アイプラグの中野社長)と求めています。

マイナビの調査によると、2021年卒採用において特に注力する採用手法として「オファー・スカウト型採用」を上げた企業はわずか3.3%にとどまっています。

前年比で1.4%上昇したものの、3%台に過ぎません。

スカウト型採用の普及は、学生や企業の選択肢を増やし、双方にとってよりよい出会いを生む可能性を高めます。

スカウト型採用サービス各社はサービスをさらに磨き上げ、採用手法の多様化に貢献する役割が期待されるのです。

ネットの声

「より実力社会になりますね。大学生活遊んでばかりではオファーもない。来るところにはたくさん来てこないところには全く来ない。ただ学生さんは4年間なんとなく単位を取って何となく就職ではなく目的を持って勉強し、研究し濃密な4年間を過ごすよう努めるのではないでしょうか。」

「企業からしたらFランなど歯牙にもかけなくなるだろうね。エージェント型、インターンシップ型の採用に切り替えて新卒一辺倒の就職活動自体を見直すべき時期に来ている。もっと言えば、大学全入自体間違っている。大学は最高学府としての体面を保ち、就職してからより専門的な知識を学ぶ場所として機能するべき。学生が少ないから大学の経営が危ういとか阿呆だろ。」

「スカウトが来る会社だったら採用の望みがあるってことでしょうから、何十通もES出さなくてよくなるかもしれないのは良いですね。こういうとき学歴とか資格とかないと厳しいですよね。面接で一発逆転はなくなりそうですね。」

スカウト型というのも言いようで、企業が一定の条件でスクリーニングをかけて学生にオファーをかけるものです。

近年の人手不足や景況感から、学生の売り手市場と言われていた就職戦線ですが、不足しているのは優秀な人材ということなのでしょう。

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