実は空自の主役はT-4練習機

航空自衛隊の主役?ブルーインパルスとしても大活躍する国産ジェット機「T-4」

外観のフォルムがずんぐりとした形から、通称「ドルフィン」と呼ばれる川崎重工が製造した国産ジェット機「T-4」。

34年前の1988年9月20日に防衛庁(当時)に納入され、2003年3月6日に212機目の最終機が納入されました。

このT-4は、あの航空自衛隊「ブルーインパルス」が使用する機体で、航空祭や記念行事でアクロバット飛行を披露しています。

予備機を含め7機ほどで編成される、実はT-4で最も少ない機体です。

多くのT-4は、練習機や連絡機として活躍しています。

赤と白で塗装された40機弱は、パイロットのジェット練習機として運用されています。

連絡機はグレーで塗装され、パイロットの移動など多目的に使用され、全国の基地に配備されています。

ここでは、T-4の基本塗装3種類と、これまでに登場した特別塗装を紹介します。

ブルーインパルス

松島基地に拠点を置くブルーインパルスは、全国の航空祭、記念行事を訪れ、多くの観客を集め、展示飛行を披露しています。

ブルーとホワイトのデザインは、初代のF-86セイバーから受け継ぐ伝統です。

空飛ぶイルカのようにも見え、T-4の通称「ドルフィン」から、パイロットたちは「ドルフィンライダー」、整備士たちは「ドルフィンキーパー」と呼ばれています。

赤い練習機

航空自衛隊の戦闘機パイロットは、プロペラ機のT-7初等練習機での訓練を終え、初めて搭乗するジェット機がT-4練習機です。

芦屋基地の第13飛行教育団で、「レッド」が印象的な機体を使用しています。

この芦屋のT-4は、「レッドドルフィン」として知られてきましたが、2022年の航空祭では「レッドインパルス」と説明され、愛称が変わっています。

連絡機

連絡機のT-4は、目立たない「グレー」の塗装です。

北は千歳基地、南は那覇基地まで、戦闘機を要する飛行隊や司令部など13基地に配備されています。

普段は、パイロットたちの移動などで使用され、自然災害の発生時には戦闘機などとともにいち早く離陸し、上空から被害状況を確認しています。

災害任務の1つとして、北朝鮮が核実験した際には、上空で大気を浮遊する放射能じん収集、希ガス収集活動にも使用されました。

この3つがT-4の基本塗装です。

これ以外のデザインが施される場合は、多くが航空祭での記念塗装です。

ここからは、これまでに登場した特別塗装でも印象的なものをピックアップして紹介します。

1つはT-4開発時の復刻版塗装、もう1つはグレーの塗装が変わったのか分からないような迷彩塗装です。

復刻版塗装

復刻版塗装は、2019年の岐阜基地航空祭で登場しました。

同基地に所在する飛行開発実験団のテストパイロットコース(TPC)50周年記念塗装でした。

このデザインは、XT-4として試験飛行していた時代のデザインです。

かつて、XT-4として試験飛行していた時代のデザインはこちらです。

試験機では中央のラインがブルーとレッドの2種類あり、これが現在のブルーインパルス、レッドインパルスへと引き継がれているのかもしれません。

迷彩塗装

もっとも多いT-4のカラーは「グレー」です。その通常塗装かと一瞬、思うような制空迷彩の塗装が2008年の浜松基地航空祭で登場しました。

同じく、2008年には洋上迷彩も登場しています。

同じ迷彩塗装ですが、空と海のいずれかを重視するかで、大きくデザインが異なることが分かりやすい2つの塗装です。

各基地に広く配備されているT-4は、ブルー、レッド、グレーの基本3つの塗装だけでなく、航空祭や記念行事にあわせて見かける特別塗装もあります。

ブルーインパルスは、9月23日(金・祝)に西九州新幹線の開業で長崎市上空を祝賀飛行するほか、10月1日(土)には宇都宮市での国体開会式、10月15日(土)に今治港開港100周年と飛行します。

さらに、コロナ禍で中止されていた航空祭も、今年は、浜松をはじめ、入間、百里、築城など各地で開催予定で、ブルーインパルス以外のT-4の姿を見かける機会も増えそうです。

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