
なぜ?タクシー代の踏み倒しが解決しづらい理由
タクシーに乗ったものの、財布がないことに気づいた場合、普通はきちんと自分の連絡先を伝え、後から返すのが当然ですが、中にはそのまま踏み倒されるというケースも…。
11月3日放送『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」では、タクシードライバーさんの切実な悩みに対し、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が、法律的な観点から回答しました。
目次
無賃乗車で警察に行っても…
今回紹介するケースは、次の通りです。
「私はタクシードライバーですが、時々、無賃乗車されるお客さんがいます。
『後で払う』と言われるのですが、一見さんなので信用するわけにもいかず、基本的には警察に行きます。しかし『支払う意思があるので何もできません』と言われてしまいます。
こういった場合、どうしたら良いのでしょうか」(Aさん)
無賃乗車は窃盗と同じようなものですから、「警察に逮捕してもらえば良いのではないか?」と思いがちですが、実はそうはならないようです。
原先生は「タクシーで無賃乗車をすると詐欺罪ということになるので、人を欺いて財物(を交付させた)、(タクシーの場合は)運行させたということで、重ければ10年以下の懲役ということになります」と解説したものの、支払う意思を見せたら詐欺罪は成立しないそうです。
特定の人にだけじゃなく全国民に給付金配ってくれてたら、賽銭泥棒だのタクシー料金踏み倒したりだのしないで済んだかもしれないのになぁって思った
かたや不正受給で高級マンション?なんだよそれ
なんだかもう色々おかしいよね…— ??き?? (@osapon13) June 28, 2021
警察が関与できない理由
「支払う意思を見せる」というのは、具体的にはどんなことをすることなのでしょうか。
原先生「例えば財布を忘れたから取りに帰るとか、ちょっとお金を取りに行きたいとか、払う意思を示されると、これは民事なので、警察は『払ってあげてね』というぐらいで終わっちゃうということですね」
警察で住所を確認して欲しいところですが、よく聞かれる民事不介入となるようです。
原先生「なかなか確認は取れないんですけど、行動が不審じゃなくて。例えば財布を本当に持ってなくて、家の近くまで来ていてあと一歩のところでということとか、事情があり得るかなということになると、警察は確かに動けないですね」
北野「じゃあ、ATMでおろしてくださいということには、ならへんのかな」
原先生「警察も呼ばれたら紛争回避しようと思うので、『ATM行ってくれませんか』とか言うんですけど、財布を忘れてカードもないとかいろいろ言われると、難しいですね」
消防士がタクシー料金踏み倒し運転手に暴行「酒を飲んでいて覚えていない」。大阪府警は29日、強盗致傷容疑で23歳の消防士の男を逮捕。タクシーの乗車料金を踏み倒し、運転手を殴って重傷を負わせたとされる。男は「酒を飲んでいて覚えていない」と、容疑を否認(´З`)
— まはろっち (@rocchi_tw) October 29, 2019
被害に対してどうすれば良い?
では、どうすればお金を払ってもらえるのでしょうか。
原先生「親切な人だったら家まで行きましょうかとか、警察が付き合ってくれると思うんですけど、それが難しければ、タクシー運転手さんが自分でその人のお金があるところまで付いていかなきゃいけないですね」
一軒家なら家の前で待つことができますが…。
原先生「会社とか入られちゃうと、ビルなんていろんな出口がありますから、入口で待ってても。最低限まず、車内カメラで撮影していると言えば、さらされるかもしれないっていうことがあるので良いですけど、できれば身代わりになる物を置いていってもらうと。服とかカバンの一部なり、何か置いていってもらう」
北野「スマホを置いてもらうとか」
そもそも財布がなくても払えるように、スマホを持っているなら、せめて電子マネーの契約をしておくことが大事ですね。
ただ、物を置いていってもらうのは強制できず、お願いなので確実ではありません。
それでも逃げられてしまったら被害届を出すかどうかですが、少額でも意味はあるのでしょうか。
原先生「やっぱりこの事件でその人を捕まえるのは難しいかもしれないですけど、こういう人がこの地域に頻発してるよという人を集めるのも重要なので」
さらに、「被害届を出せばみんなタクシー会社は警戒し始めますから、そういう意味でも泣き寝入りをしないで、被害届を1つ1つ出してもらいたいですね」とまとめていました。