「月額4万円」定額住み放題で「場所を問わない」働き方。

コロナ禍に若者の利用者が急増。

いま住みたい街に住み、気分が変わればほかの街へ。

そんな暮らしを実現してくれる様々なサービスが人気になっています。

住民票を置くことも可能

月額4万円で全国60以上の拠点に住むことができるADDress(アドレス)。

会員は、全国のアドレスの家に滞在するため、共同賃貸借契約を結びます。

有料オプションで、自分専用のベッドを申請しそこに住民票を置くこともできます。

コロナ禍前の利用者は、フリーランスや個人事業主、経営者が多かったのですが、コロナ以降、20~30代の会社員の若者が急増しているということです。

社長の佐別当(さべっとう)隆志さんが説明します。

「ワンルームで職住融合だと、誰とも会わなくなっていきます。オンラインで仕事ができるようになったからこそ、普段の暮らしでは人との交流を求める若者が増えているのでは」

アドレスの拠点の特徴は、空き家や別荘をリノベーションした家が多いこと。

拠点には「家守(やもり)」と呼ばれるコミュニティーマネジャーがおり、住まいや予約の管理のほか、訪れる人と地域住民の橋渡しをしてくれます。

「空き家を再生させて家自体の魅力を知ってもらうのも重要ですが、それ以上に、そこに住みたいと思わせるには『地域』を知ってもらう努力が必要です」(佐別当さん)

家守を務めるのは、その地域をよく知る人やその地域が好きで移住してきた人たち。

家守を中心としたコミュニティーがあるからこそ、初めてその地を訪れる会員でも安心して生活することができるということです。

自宅に滞在するのは月に10日

アドレスを利用して親子で多拠点生活を楽しんでいる関達也さんは、コロナ禍前から東京と宮崎の2拠点で生活していました。

仕事はフリーの起業コンサルティングやセミナー講師など。

場所を問わない働き方が可能です。

アドレスの利用をきっかけに、2拠点から多拠点へ。

妻と子どもたちは住民票がある宮崎にいますが、関さんが宮崎に滞在するのは月に10日程度で、あとは全国の拠点を転々としています。

関さんがこれまで15回訪れたのが、熊本県多良木町の拠点。

寝台特急を利用した簡易宿泊施設「ブルートレインたらぎ」が気に入って、小6の次女も一緒に訪れることが多いということです。

ここの家守を務めるのは、多良木町役場の職員・栃原誠さん。

「そこでしか出会えない人との出会いが、多拠点生活の魅力」と語る関さんですが、親子ともにその醍醐味を味わえるのは家守のおかげでもあるようです。

あるとき次女を連れて滞在した関さんに「せっかくならデュアルスクール制度を使ってみては?」と栃原さんが提案したのです。

デュアルスクール制度とは地元で籍を置いている学校以外にも通学ができる制度。

同町の場合、体験入学制度があり、双方の学校の合意があれば教育委員会への簡単な申請だけで小学校に通えます。

栃原さんの働きかけで、次女は滞在中に多良木の小学校に数日間通い、新しい友達もできたということです。

子どもがいたら地方への中・長期滞在はできない、そう思い込んでいる人にとっては、一つのモデルケースになるでしょう。

コロナ収束後もリモートワークを継続

最後に紹介するのは、さくらインターネットで新規事業開発に従事している城戸彩乃さん。

同社ではコロナの影響で3月から「原則リモート」になることが言い渡されました。

さらに、コロナが収束してもその方針は戻すことはないとも。

城戸さんの場合、元々旅や移住への関心は高かったものの、仕事が好きで、生活は仕事第一。

旅や移住は半ば諦めていたというのです。

しかしリモートになったことで「仕事も全力でやりながら移住生活できるじゃないか」と思い立ちます。

東京のマンションを引き払い、まずは長野・駒ケ根のマンスリーマンションに移り住んだのです。

かねがね「日本全国を回りたい」と思っていた目標を叶えるため、この先2年ほどは2カ月単位で全国を転々とする予定という城戸さん。

次の行き先探しのために利用しているのが移住のマッチングサービスSMOUT(スマウト)です。

スマウトの特徴は、登録したユーザーに自治体などから声がかかる「スカウト」の仕組み。

このユニークな仕組みについて、事業責任者の中島みきさんはこう説明します。

「かつては、家賃補助、交通費補助などが移住施策の主流でした。でもそれだけでは人は動きません。そこでどんな暮らしができるのか。ニーズは多様です。スカウトをきっかけに、1対1の会話が始まってほしいという狙いがあります」

城戸さんの場合、「キャンプや写真が趣味です」と登録したら「うちの町ではこんな星空の写真が撮れますよ」などのメッセージが30件以上届いたそうです。

単なる定型文の一斉送信ではなく、希望に沿って適切にアピールしてくれるメッセージの数々に城戸さんも満足げです。

コロナ禍の下での人の移動について慎重な声があることも確かですが、感染対策や体調管理を徹底しています。

「この時期に移動を伴う働き方を選ぶという選択肢は、後ろ指をさされる可能性もあります。その部分も背負って、細心の体調管理をし、自分の生き方を自分でデザインするしかないのだと思います」(サブスクリプション型住居サービス「HafH(ハフ)」・大瀬良亮さん)

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