『羊たちの沈黙』何度でも観たいサイコ・サスペンスの金字塔

高画質化で緊張感が倍増 映画の流れを大きく変えたサイコ・サスペンスの傑作

1991年に公開された『羊たちの沈黙』は、様々な意味で映画界を変えた作品だ。

サイコ・サスペンスというジャンルムービーでありながら、アカデミー賞作品賞をはじめ、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞というメインの賞を軒並み独占。

興行面でも大ヒットとなり、その年で4位という成績を収めた。

FBIの女性捜査官が活躍するということでは『X-ファイル』にも多大な影響を与え、現在の映画、ドラマでもタフな活躍を続ける女性捜査官ものの礎となった。

心の闇が見えてくる抜群の演技力

物語の構造は、非常にユニークなものだ。

バッファロー・ビルによる連続女性誘拐殺人事件が発生。

FBIは事件を解決するため、獄中にいる天才精神科医レクター博士に訓練生クラリス・スターリングを送り、協力を頼む。

訓練生を送られたことに不満を覚えるレクターだったが、若いクラリスに興味を覚え、彼女自身の話を聞くことと引き換えに、情報を出していく。

そんな中、ついに上院議員の娘キャサリンがバッファロー・ビルに誘拐されてしまう。

彼女が生きている内に救出できるのか?

タイムリミットが迫る。

トマス・ハリスが原作を書いたこの作品、実は前章に当たる「レッド・ドラゴン」が一度映画化されている。

マイケル・マン監督の『刑事グラハム/凍りついた欲望』(1986)がそれで、主演は『CSI:科学捜査班』(2000~)のウィリアム・L・ピーターセンが務めた。

一部のファンから絶賛されたが、あまりにスタイリッシュで一般受けすることはなかった。

そのせいか、ジョナサン・デミ監督のアプローチは一見、誰でも楽しめる作りながら、見れば見るほどキャラクターたちの心の闇が見えてきて、ジョディ・フォスターやアンソニー・ホプキンス、スコット・グレンらの名演をも引き出す作品になった。

最初はショーン・コネリーにオファー

ジョナサン・デミ監督は、ロジャー・コーマン門下生の出身。

1974年に『女囚刑務所・白昼の暴動』でデビューし、ピーター・フォンダ主演の『怒りの山河』(1976)やライブ映画『ストップ・メイキング・センス』を経て、『サムシング・ワイルド』(1986)や『愛されちゃってマフィア』(1988)などで頭角を出し始める。

そんな彼に一緒に仕事をしてきたオライオンの製作部長がデミ監督に原作を渡し、監督をオファーする。

一方、原作に惚れ込んでいたジョディ・フォスターは、映画化権をオライオンが獲得していたことを知り、デミ監督に自身を売り込む。

一方、レクター博士役には2名候補が挙がる。

一人は商業的な理由でショーン・コネリーだったが、脚本を読むと、即、断りの返事がくる。

本作公開後、似たような作りの『理由』(1995)に出演しているのだが、そちらは捜査官役。

第2候補だったアンソニー・ホプキンスはこのオファーを快諾。

メインの俳優ふたりが、役に対する理解をしてくれたお陰で、作品は成功の道を進み始める。

名作故の続編の数々…そのどれもが秀逸

あとはもうご存知の通り。

本作の成功を受け、レクター博士を主人公にした映画は『ハンニバル』(2001)、『レッド・ドラゴン』(2002)、『ハンニバル・ライジング』(2007)が作られ、テレビシリーズでもマッツ・ミケルセンの『ハンニバル』(2013~2015)と『クラリス』(2021)が製作された。

本作の怖いところは人喰いハンニバルや、殺した女性の皮で縫物をするバッファロー・ビルよりも、クラリスが置かれる男尊女卑の環境や、過去のトラウマをえぐり出すレクター博士の一言一句にある。

ぱっと見、埋没しそうな表現が積み重ねられた先に、どのような未来が待ち受けているのか、何度でも見直してチェックしてほしい。見る度に発見があるはずだ。

DVD時代は様々な形態でリリースされてきた本作だが、ブルーレイに関しては初期に一度出たきりで、長い間、廃盤となっていた。画質も良くなかったが、今回、4Kレストアされたマスターを採用したことで、目の覚めるような高画質になった。

レクター博士に襲われた警官が牢屋に磔にされている衝撃ショットや、救急車内で顔面を差し替えるヌルっとした質感などよく伝わる。

またクラリスがランニング中、男子たちに後姿をチラ見される場面や、レクター博士との面会で隣室の男に体液をかけられる場面もよく見え、不快度が上がっている。

もちろんバッファロー・ビルが性器を股間に挟んで踊るシーンにはボカシもなく、彼の性癖がより明らかになっている。

サラウンドの精度もアップしているので、本作の本領を体感できることにもつながっている。

配信でも観られるが、ブルーレイでの鑑賞を体験してもらいたい。

ネットの声

「一流の映画とはこの映画のこと。どこがどう素晴らしいというのではなく、はじまりから終わりまですべて
無駄がない一流の映画です。」

「主演男優賞と助演女優賞をそれぞれ受賞したアンソニー・ホプキンスとジョディ・フォスターの名演技は引き込まれるものがありますし、目を覆いたくなる痛々しいご遺体映像や檻の中で異彩を放つ連続殺人犯ハンニバル・レクターを目の当たりにして「こんな人間には間違ってもなりたくない」と強く思うとともに、そう思わせたハリウッド俳優の名演技は必見の価値ありです。」

「ジョディ・フォスター演じるFBIの捜査官とハンニバル・レクター博士の対峙は圧巻。どんでん返しを繰り返す
ミステリー、サイコ、サスペンスの名作。」


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