路上駐車をしているトラックの運転席では、多くのドライバーがハンドルに足を上げて休んでいます。

「時間調整も大きな仕事で、サボっているわけではない。行儀が悪くみえますが、不規則な休憩時間内に狭い車内で体を休めるには最適なのです」。

路上駐車で休憩せざるを得ないトラック運転手の事情

2006年、集荷や集配のための一時的な路上駐車であっても、即刻駐車違反となる「改正道路交通法」が施行され、各宅配業者は対応に追われました。

それでも朝の通勤ラッシュ時には、道路を塞ぐようにして停まっているトラックや、時には長い列を成し、ハンドルに足を上げて寝そべるドライバーたちの姿を目撃することがあります。

こうしたトラックは、一般車からすれば邪魔でしかなく、「よりによってなんでこんなところでサボってるんだ」とイライラしたという人も少なくないでしょう。

しかし、彼らは決してサボっているわけではありません。

結論から言うと、彼らがしているのは「時間調整」。

トラックドライバーにとって、現状「待つ」という作業も一つの大きな仕事なのです。

その事情を説明します。

トラックドライバーたちにとって、唯一「町中のオアシス」となるのが、「駐車場に大型トラック専用レーンを設置しているコンビニ」です。

都心にはほとんど存在しないのですが、駐車場のスペースが広く取れる郊外や、高速道路の入口付近などでは、目にすることがあります。

誰の邪魔にもならず、トイレや温かい食事にまでありつけるのは、精神的にも肉体的にも疲労感が全く違うのです。

数年前までは、多くのコンビニが「大型トラックお断り」だったことを考えると、こうした変化はドライバーにとっては大変ありがたいことです。

しかし、トラックが路上で邪魔者扱いされないようになるまでには、まだまだその数は足りていません。

いや、「足りていない」というよりは、クルマの通りが少なく車線も多い郊外よりも、交通量が多く、狭い道が入り組む都心や住宅街近くにこそ欲しい場所、といったほうが正しいのかもしれません。

しかし、そんな彼らの弊害になるのが、大型車専用レーンに駐車する乗用車の存在です。

徹夜明け、運よく見つけた「駐車できるコンビニ」で、同レーンに収まる一般車に気付いた時の落胆度合は、後ろに積んだどんな荷物よりも重いのです。

路駐するトラックに遭遇するたび思うこと

  • スピードは出すな。
  • 途中休みも取れ。
  • でも遅れるな。
  • 早く着いても近くで待つな。

もちろん、他車の迷惑になる行為は決して許されることではありません。

しかし、述べてきたように、トラックの世界にはドライバーが無意識に起こしてしまうマナー違反や、マナー違反だと知っていてもどうすることもできない、こうした「日本社会全体の構図」が存在するのです。

改正道路交通法により、街にはコインパーキングが急増し、路上駐車する乗用車は劇的に減少しました。

しかし、そのコインパーキングのほとんどは、大型車仕様にはなっていないのです。

我々の生活を下支えするトラック。

彼らを厳しく追及したり取り締まったりする前に、その存在を含めた環境を構築する必要があると、路駐するトラックに遭遇するたび思うのです。

なぜハンドルに足を上げて休憩するのか

他の一般ドライバーからしてみれば、「路駐のトラック」はただの邪魔でしかないでしょう。

その存在だけでも大きなストレスになるというのに、その車内のドライバーがハンドルに足を上げてふてぶてしく休んでいる姿まで目に入ってくれば、イライラはさらに募ることでしょう。

長距離を走るほとんどの大型トラックの座席後部には、大人一人分の「ベッドスペース」があります。

決して広いとは言えないものの、大柄な男性でも、横になって睡眠を取るには足りる空間です。

しかし、それでも彼らは、敢えてあのような足を上げた体勢で休憩を取ることがあるのです。

その理由は、「不規則な休憩時間」にあります。

彼らが取れる休憩時間のタイミングや長さは、とにかく悪く、そして短いのです。

荷主の元で数時間かけて荷積みをし、搬入先に向けて夜の暗闇をひた走る。

ようやく気分が乗ってきたところで、先にも紹介した「4時間連続走行で30分の休憩」を取るタイミングとなります。

先を急ぎたい気持ちを抑えて駐車場所を探し、クルマを停めるのです。

途中、事故渋滞や交通規制に巻き込まれれば、タイトな時間との戦いに気を揉み、搬入先付近に到着する頃には、睡魔も疲労も限界。

しかし、それらを解消できるほどの休憩を取れないまま、搬入先での荷降ろしの時間がやってくるのです。

「足上げ」が目覚まし代わりになる

そんな状況の中、わずかな仮眠のために、後ろにあるベッドへ体を埋めるとどうなるかは、トラックドライバーでなくても想像に難くないでしょう。

「寝過ごす」のです。

疲れ切ったその体には、ベッドはあまりにも快適すぎるのです。

こうして短い休憩の際は、多くのドライバーが運転席で仮眠を取ることを選択するのですが、その狭く不安定な座席で、最も楽にいられるのが、例の「ハンドルに足を上げた体勢」。

通称、「足上げ」と呼んでいます。

束の間、アクセルやクラッチから解放された足を、心臓よりも高い位置に置くことで、長時間の着席状態で生じた「浮腫み」を和らげるのです。

しかし、そんな体勢が「快適」であるわけがありません。

数十分もすれば襲ってくる足のしびれや腰の痛みが、皮肉にも彼らの「目覚まし代わり」になるのです。

また、足の浮腫みの改善にもつながるのですから、足上げはトラックドライバーにとって、背に腹は替えられない所作といってもいいでしょう。

「足上げ」を推奨する専門家も少なくない

見た目には決して褒められた格好ではないのですが、この「足上げ」をトラックドライバーに推奨する専門家も少なくありません。

というのも、トラックドライバーの労働習慣には、「エコノミークラス症候群」を引き起こす要素が非常に多いからです。

エコノミークラス症候群とは、足や下半身の血流が悪くなり、できた血液の塊(血栓)が肺の血管に詰まる病気で、呼吸困難や胸痛などを引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。

東日本大震災時、避難所での突然死や車中死が頻発したことで、国民に広く認知されるようになった病です。

トラックドライバーは、長時間狭い車内で過ごさねばならないだけではありません。

クルマを停められる場所の少なさから、トイレの回数を減らそうと、水分の摂取を抑えたり、眠気防止のために足を温めすぎないようにするなどといった、独特の「長距離運転対策」を講じることがあるのです。

しかし、皮肉なことに、こうした行為は、エコノミークラス症候群を引き起こす大きな要因となります。

一方、そのエコノミークラス症候群の効果的な予防策の一つが「足を高くして寝ること」。

つまり、ドライバーが楽な体勢として取る「足上げ」は、エコノミークラス症候群予防としても、理に適っているのです。

しかし、見た目の問題や衛生的観点、さらには「食わせてもらっているハンドルに失礼だ」という企業理念などから、中にはこの「足上げ」を禁止する運送業者や荷主も存在します。

しかし、ドライバーとて足上げなどせず、休憩時間くらい後ろのベッドで眠りたいというのが本音なのです。

ネットの反応

「真夜中や未明に、道路の路肩に止めてハザードランプ付けてる大型トラックよく見かけます。お疲れ様ですと言いたい。配送プランてなかなかスムーズには組めませんからね。渋滞などを考慮して大概は長めに組まれていますから、どうしても、どこかで調整するしかない。一気に最初の配送先まで行ってそこで時間まで休みたくても、住宅街の中だったりすると、夜中は迷惑にもなるから、途中で止めるしかない。眠れないドライバーは少なくないと思う。」

「近所にもトラックがよく止まっている道路がある。トラックが止まっている事を見越して、追越し車線に行くが。トラック、邪魔だからこそ都心にトラックが止められるパーキングメーターが沢山あればいいのに。法律だけ変えて休憩所がないなんて。」

「私のおじさんが長距離運転手でした。なので同じ姿勢で長時間運転は本当に疲れるし、毎回決まった時間に休憩はできないから休憩できる時に休憩しないといけない。またエコノミー症候群対策で足あげは効果あります。」

待機所を荷主に作ってもらいたいものです。そうでなくても大きな車体でコンビニにも入れないのですからね。

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