【約束】チューリップの名曲 懐かしくほろ苦い…

「約束」はチューリップが1978年9月に発表したアルバム「Upside-down」の最後に収められています。「Upside-down」は「逆さま」という意味を表現していて、アルバムジャケットも5本のウィスキーの瓶が逆さまに立てられているのが印象的でした。

チューリップの9作目のオリジナルアルバム

「Upside-down」はチューリップの9作目のオリジナルアルバムです。ウィスキーのラベルをよく見るとメンバー5人の顔が印刷されていて、当時のチューリップの遊び心を垣間見ることができます。

1970年代のチューリップは若さを武器に勢いのあるメロディメーカーとして高い人気を誇っていました。

福岡出身のグループが日本の音楽シーンを席巻した時期でもあるのです。

遊び心と書きましたが、向上心旺盛なチューリップは常に発表する作品に実験的な要素を残しているのです。

それまでのアルバムは日本式というかいわば和風なポップという感じだったのを今回は洋風仕立て…。

それがウィスキーを使ったジャケットに表したといってよく、普通に配したのでは面白くないから、タイトル通り逆さまにしてみました…といったところなのでしょうか。

当時のチューリップの発表するアルバムは毎回バラエティに富んでいて、聴き比べ・聴き応えのあるアルバムを発表していたのです。

珠玉のバラード『約束』

名曲揃いの「Upside-down」なのですが、その中でもラストを飾る『約束』は珠玉のバラードです。

約束  財津和夫作詞・作曲、メインボーカル

あの頃は 悔しさを
君が拭っていた
売れないギターの
腕を恨んだ

初めての ギャラが入れば
君の口癖の 海へ行こうと
約束したね

あれから 君はどうしているだろう
約束を 果たさないままだったから
あの頃に も一度戻らなけりゃ

カーテン一つ ない部屋に
似合わぬパブミラーが
映していた 君のしぐさを

何もかも 変わってしまったけれど
心の求めるまま 君を抱いた
あの頃に も一度帰りたい

何もかもが美しい

アルバム「Upside-down」の最終曲である『約束』。

メロディも詞も、歌声も美しいチューリップの名曲の一つです。


「初めてのギャラが入ったら私に宝石を買って!」

ではなく、「いつか必ず連れてって」と口癖だった「海に連れてって」だなんて、あまりにつつましい彼女の願いです。

そんな小さな願いさえ叶えてあげることを忘れてただ前だけ向いていた自分。

その後、売れて、成功して自分自身との約束は果たしたけれど、果たさなかった彼女との約束が心に突き刺さるのです。

できることならあのときに戻って、彼女を微笑ませたい。

やっぱり彼女のつつましやかさやけなげさが、それだけ自分の傲慢や、自分のことしか考えていなかった若気の至りを際立たせるのです。

パブミラー

現代の日本の若者は知っているでしょうか

その昔、アメリカ風の飲み屋(パブ)に行くと店の中にあった、鏡がパブミラーで、鏡の一部にたとえばクラシックカーなんかのコミック調の絵が描かれているものです。

カーテンさえない、おそらく四畳半一間の部屋に、およそ似つかわしくないパブミラーがせめてもの贅沢なのか、はたまた若さの象徴としてあったのです。

そのパブミラーが「君のしぐさを映していた」って、なんとも鮮やかな映像が目に浮かぶのです。

財津和夫は心象風景を外の風景に映し出すのが実にうまいと思います。

「サボテンの花」で、洗い物をしていた君がほんの小さな僕の一言に傷ついて走り去ってしまい、後には

「シャボンの泡が揺れていた 君の香りが揺れてた」

とか…。

「ふたりがつくった風景」では、

「雨や風が強くて 傘の骨が折れたね ずぶぬれでも楽しかったあの夜」

「雪が沢山積もった 街がいつもと違った 野良猫を君が拾ってきたあの夜」

おそらく、この頃が2人の仲の転機になったんのだろうことがわかります。

野良猫を拾ってきた君のやさしさをほめることをせず、「なんでこんなもん拾ってきたんだ」と喧嘩したのでしょう。

「風が雲を飛ばして 星が沢山光った そして二人は別れたねあの夜」

とか…。

財津さんはその時々の流行とかキーワードとかを歌詞に入れるのが好きでしたね。

パブミラーも知らない世代が聞いたら何のこっちゃわからないかもしれません。

米国への漠然とした憧れなんて現代の日本の若者にはあんまりなくて、むしろ安居酒屋でおいしく安くお酒を飲むことが当たり前かもしれません。

だから、パブミラーなんておかしな代物かもしれないのです。

でもきっと、万人やすべての世代にわかってもらう必要はなくて、わかる人やわかる世代に鮮やかにわかってもらえばそれでいいという意識での流行やキーワードの取り入れなんだろうと思いますね。

ネットの声

「この曲を聴くと鈍い心の痛みを感じるので聴きたくないけど無性に聴きたくなるんだよな…」

「ノスタルジーにあふれる名曲だと思う。」

「この曲があるから前を向けた。後悔はするけどそれを活かせてきたと思いたい」

みんなそれぞれの思いをこの曲に乗せています。

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