
専門家でも難しい…? 投資初心者が知っておきたい付き合い方
つみたてNISAに興味を持たれている方が増えているように思います。
老後のお金を準備することを前提にした「積立投資」を税制面でサポートしている制度といえます。
制度の内容について知ることはもちろん大切ですが、税の優遇に目がいってしまうあまり、
資産運用の本質までたどり着かないことが多くなるため、特に投資初心者の方は注意が必要です。
Contents
つみたてNISAを活用した資産運用とは
理解のアプローチとしては「資産運用とは」から始まり、「おまけとして、つみたてNISAという非課税制度を理解する」といった流れがいいように思います。
(1)資産運用ってなに?
分かりやすくするために、つみたてNISAを活用することを前提に資産運用を考えてみます。
つみたてNISAでは投資対象、つまり購入できる金融商品は一定の投資信託に限られています。
投資信託の価格を「基準価額」といいますが、投資信託は、投資信託の市場で基準価額に基づき売買されています。
株式と似たように考えるとイメージしやすいかもしれませんが、株式の価格は株価です。株式は株式市場というマーケットで株価に基づいて売買されています。
株価が買ったときの値段よりも高くなった後に売ると、売却益が得られます。
これをキャピタルゲインといいますが、投資信託も同じで、買ったときの基準価額よりも高く売れた場合に売却益が得られます。
つまり、資産運用とは基本的に、持っている資産を高く売ることであるといえます。
深く知ると必ずしもこの定義が当てはまるわけではありませんが、初めのうちはこの程度の理解でかまいません。
(2)資産運用は過去ではなく、未来を予測して売買するもの
資産運用は前述のとおり、保有している有価証券(株式や投資信託など)が買ったときの値段よりも高く売れれば利益が生まれますが、
いつ買って、いつ売るかという売買のタイミングもとても大切な要素です。
例えば今、基準価額が1000円の投資信託があるとします。
将来、値上がりするだろうという思惑でこれを買い、1ヶ月後、1200円に値上がりしたタイミングで売った場合、200円のキャピタルゲイン(売却益)が得られます。
これとは逆に、将来、値上がりするだろうと思って買った基準価額1000円の投資信託が、1ヶ月後、800円になったときに売った場合は▲200円の売却損(キャピタルロス)が生まれます。
このように資産運用は、あらかじめ未来を予測し、株式や投資信託などの有価証券を売買する行為といえます。
(3)未来は誰にも分からないため、可能性を組み立てていく
資産運用は、未来を予測しながら株式や投資信託などを売買することではありますが、未来のことは誰にも予測できません。
これについては資産運用の初心者であっても、上級者であっても、専門家であっても同じことがいえるでしょう。
このため、資産運用をする場合は極力、不確実性を目に見えるものにし、可能性を探っていくことになります。
こうしたアプローチには「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」という2つの方法があります。
ファンダメンタルズ分析は、世界情勢から始まり、世界経済や国内経済、政治、産業界などの動向をつぶさに観察・分析し、より可能性の高い将来予測に役立てるアプローチです。
一方、テクニカル分析は、例えばチャート理論やテクニカル指標などを活用し、技術的に相場の予測につなげていく方法です。
これらのアプローチは、どちらか一方を採用するよりも、両方を用いた方が未来に向けたシナリオを描きやすくなります。
非常に難しい方法論ですが、端的にいうと、この点が資産運用において最も高いハードルになるのではないでしょうか。
つみたてNISAで投資信託を運用する場合、非課税投資期間は最長で20年です。
投資信託を毎月、積立投資していくことになるため、非課税投資額は月に換算すると3万3333円になります。
例えば、つみたてNISAの活用の下、毎月3万円で投資信託の購入を20年間続けるとしましょう。
つみたてNISAを活用する場合、たとえ未来の予測分析を行い、売るタイミングを見計らった上でスタートしたとしても、
銘柄の入れ替え(スウィッチング)が非課税投資額内に限定されるので、心理的には非課税投資額を気にしてしまいます。
このため、資産運用を機動的に行うことが難しくなり、未来の予測分析の効果が低下する可能性が高まることが考えられます。
(4)運用は臨機応変に対応する
これを防止するには、最長20年間もある非課税期間中、ほったらかしにするのではなく、1年に1回は運用状況のチェックを行い、
必要に応じて翌年は別の投資信託に切り替えるといった見直しをしていく必要があります。
通常の資産運用では、非課税期間・非課税投資額という、臨機応変な運用においてはむしろ邪魔になってしまう要素がないため、
売買のタイミングを状況に応じて計ることができます。
一方、つみたてNISAを活用する場合、こうした運用がしにくくなるため、リスクコントロールの点では専門家でも難しい運用を余儀なくされてしまいます。
この状況をなるべく緩和するために、1年に1回、運用状況のチェックや必要に応じた見直しをしていきます。
(5)資産運用には自分なりの運用ルールが必要
つみたてNISAは非課税期間が最長で20年間もあるため、相場の状況が良ければ20年間、丸々続ければいいのですが、
相場の状況が悪くても非課税だからということで続けてしまう可能性があります。
長期投資そのものを是とするのではなく、むしろ1年に1回の見直しを継続しながら、
幸いにして相場状況が良ければ20年間続けてみるというスタンスで長期の運用を捉えておく必要があります。
要するに「降りたいときに降りる」というスタンスですが、
リスクコントロールがしやすいように自分なりのルールを決めて運用に臨むようにしましょう。
まとめ
他にも、資産運用を行う上では分散投資やリスクヘッジの方法など、いくつかの重要なポイントがありますが、
つみたてNISAを活用する際は非課税制度の範囲内で運用方法を考えざるを得なくなるため、
事実上、分散投資もリスクヘッジもハイレベルな工夫が必要になってきます。
そこまで踏み込んだ話をするとかなり難易度が高くなるため、初めのうちは前述した5つのポイントを念頭に置き、
実践を積んでいくようにしましょう。
ネットの声
「投資初心者にスイッチングなんか勧めたら始める前から降りてしまいますよw
積立NISAでの小額での積み立てならば、ノーロード型の指数連動ファンドを何も考えずに買い続けるでいいと思いますが。またそれをするならば積立NISAよりもiDeCoの方が望ましいかもしれませんが。
儲けたいというのは当然あるにはありますが、インフレヘッジのために株式を組み入れ資産保全も兼ねるわけですから単に利益だ損失だの議論では本来の目的を見誤りそうかと思われます。」「定期預金よりかはマシ程度の期待で積み立てしてます。」
「定期的に買ったら損しないと勧められたが日付で失敗し結構損したな」
お得という言葉にダマされないことです。当然リスクはあります。