
【MotoGP】ヤマハ増田PLに訊く“どん底”2024年MotoGP「マシンの力不足が苦戦の全て……ライダーには感謝しかない」
ヤマハのファビオ・クアルタラロとアレックス・リンスは、2024年シーズンのMotoGPをランキング13位と18位で終了。
特にクアルタラロは2023年よりも苦しい結果に終わったが、開発側はこの原因はバイクのパフォーマンスにあるとライダーを擁護した。
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数年間苦戦が続いているヤマハ
2024年シーズンは苦戦中のメーカーを優遇するコンセッション制度の対象となり、開発の自由度を高められたことから、復活する可能性もあるのではないかと期待されてきた。
ただ結果的に2024年も、ヤマハにとっては苦しい状況が続いた。
クアルタラロは113ポイント獲得でランキング13位(前年比マイナス59ポイント)に終わり、新加入のリンスも31ポイントの同18位に留まった。
2023年はクアルタラロがなんとか獲得できていた表彰台にも、今年は手が届かなかった。
シーズン終了後の12月にメディアの取材に応じたヤマハは、こうした成績の低下はライダーには責任はなく、バイクのパフォーマンスが足りなかったと率直に述べた。
「今年の順位は、ファビオとアレックスといったライダーたちの元々持っているパフォーマンスや実績に対して、大きく下がる結果となってしまいました」
MotoGPプロジェクトリーダーである増田和宏はそう語る。
「シンプルにバイクのパフォーマンスが足りていない、他メーカーに対してビハインドがあったことが要因だと思っています。ですから、”彼ら(のパフォーマンス)にどうこう”といった事は感じていません」
2025年のmotoGPも今からもう楽しみ。
来年はヤマハがどこまで伸びていけるかしらん。あとホンダ。
桑田の、ヤマハ組の、ミルの笑顔は見られるのか。見たい。#motogp_jp pic.twitter.com/HieVHRRIgz— 多聞@饂飩華院 (@FreezeTamong) December 31, 2024
ライダーに感謝
そして増田プロジェクトリーダーは、ライダー達は苦しい状況の中でも疲れ果てるまで全力でプッシュしてくれており、開発側としてこのままではいけないという危機感を抱いていたと語った。
「ファビオにしてもアレックスにしても、正直バイクは特に開幕当初は乗りやすいと言える状況ではなかったんですけれども、それでも常にどのレースでもハードにプッシュしてくれていました」
「レース後にバイクを降りたときには、もうフラフラになっているようなことも一度や二度ではありませんでした」
「ライダーにこんなに無理させて乗らせてしまっている……”これじゃいかんな”というのを実感するような場面がありました」
そして、そうした状況の中でも前向きな姿勢で取り組み続けてくれたライダーに感謝しているとも語った。
「ライダーも人間なので、気持ちがアグレッシブになっちゃう瞬間もあります。でも2人ともそういう瞬間があっても、いちど時間を空けて冷静になってから、フィードバックをくれるんです。そこはすごくプロだなと思います」
「コンセッションルールの影響で、年間20戦やりながら、隙間を見つけて私達がどんどんプライベートテストを追加していくので、彼らもチームメンバーも非常に多忙な、今までと比べ物にならないような1年過ごしてきました」
「それでも100%でプッシュして開発メンバーにフィードバックをくれる、そういったプロフェッショナルなところにすごく助けられましたし、感謝しています」
「今シーズンはピットの中の空気が成績なりに悪かったかというと、そうは感じてはいないんです。そしてその雰囲気を作っている大きな要素は、2人のライダーがいつでも前を向いて、たまには馬鹿なことしてくれたりしているからでした。ピットの中の空気を変えてくれたのは本当に助けられましたね」
2025年は巻き返しを
なおクアルタラロは今シーズン終盤のアジア戦からある工夫をマシンに施していたことも、プロジェクトリーダーらから明らかにされた。
「ダッシュボードに“Smooth”って書いてあるんですよ。そう乗るようにって」
「彼の強み、例えばブレーキングでプッシュしすぎると、後がつらくなる。それを本人なりに抑えて乗るように、ということですよね」
そしてクアルタラロの担当エンジニアは「そうですね。本人が(自筆でSmoothと)書いていました」と言う。
「彼もそういう悪いところや自分の癖があるのを分かっていて、冷静に、少しでもバイクを速く走らせるようにと、努力してくれているんです」
終盤戦の頃にはクアルタラロが調子を上げ、第19戦マレーシアGPでは今季ベストの6位をマーク。増田プロジェクトリーダーは、ライダーと改善を進めてきたバイクが噛み合ったことが、その要因だと語った。
「バイクが万全だったとは言いません。ただ彼(クアルタラロ)が集中してくれて、私達のバイクのパフォーマンスも少しずつではあるけれど良くなっていて、そこがうまく噛み合う瞬間があり、結果に繋がりました」
「今シーズンのベストリザルトはセパンだったんですけれども、そこではうまく噛み合って結果に繋がってくれたのかなと感じています」
増田プロジェクトリーダーは2025年シーズンに向けてバイクを改善する速度をさらに上げ、課題となっているリヤのグリップやトップスピードを解決していきたいとしている。
2024年のライダー達の献身に、ヤマハが”良いバイク”を提供することで応えられるかどうか……2025年シーズンは開幕前テストから注目を集めることになりそうだ。
ネットの声
「おなじ優遇措置の在るHONDAよりは少し進歩があるように見えます、ライダーの入れ替わりが少なかったので方向性の判断がしやすいのはメリットですし、サテライトも復活したのでデータは2025で更に集まります。見境なく人材をハンティングしたり今までにない方法も見えてきているので、復活に期待したいです。」
「ここ数年間はヤマハだけではなくホンダも苦戦していますね。
そろそろ日本メーカーの逆襲を観たいです。
昔はパワーのホンダ、ハンドリングのヤマハなんて言われていましたね。」「なんとか頑張ってライダーに戦闘力のあるマシンを!…応援しかない。」