
テスラだけじゃない!日本企業も続々…「在宅勤務廃止」はなぜ?
「リモート(在宅)勤務は今後容認しない」。
電気自動車(EV)最大手のイーロン・マスク米テスラ最高経営責任者(CEO)が、5月末に幹部宛ての電子メールでそう通告しました。
「在宅勤務を希望する人は週に最低40時間オフィスで勤務しなければならない。さもなくばテスラを退社してもらう」と激しい言葉で「オフィス復帰」を命じています。
IT企業でも「在宅勤務」縮小へ
要は「在宅勤務を許可するのは残業のみ」というメッセージで、事実上の在宅勤務禁止令です。
メールには「例えばカリフォルニア州フレモント工場の人事責任者でありながら、その人のオフィスが別の州にあるという状況は認められないということだ」としていることから、一般社員ではなく幹部職を対象にした通告とも受け取れます。
しかし、ツイッターでの「仕事のためにオフィスへ通勤するのは時代遅れなのでは?」との質問に対して「そういう人は他社で働くフリをすればよい」と答えており、マスクCEOが「在宅勤務はサボりの温床」と見ていることが分かります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴って在宅勤務の導入が進んだものの、その「揺り戻し」が起こっているのです。
在宅勤務との親和性が高いと言われているIT企業も例外ではありません。
米グーグルは4月から週3日以上のオフィス勤務を促しました。
しかし、同社社員は在宅勤務期間の延長や恒久的な在宅勤務への切り替え、通勤するオフィスの変更を申請できます。
もっとも、グーグルのオフィスにはマッサージルームやカフェ、ジムなどの福利厚生サービスが充実しており、社員からはオフィスワーク再開の要請も多かったそう。
障害者雇用雑感
職場は在宅勤務廃止の方向へと動いている.新規求人も在宅勤務なし(出勤前提)で出している.
障害者雇用でも同様だろう.正直,リモートワークは管理が面倒だし飽和状態.対面でちゃんと仕事できる人材が欲しい.
その意味ではコミュニケーション能力と身だしなみが重要に— Rouen (@Trinity_13) June 2, 2022
日本企業でも在宅勤務の縮小が相次いでいます。
楽天グループ<4755>は2021年11月に、東京本社などで出社日を週3日から週4日に増やしました。
ホンダ<7267>は2022年5月のゴールデンウィーク明けから、週5日の完全オフィスワークに戻しています。
各社とも「コミュニケーションの円滑化」が、その理由。
在宅勤務では社内のコミュニケーションが十分に取れないというのです。
アメリカ企業が在宅勤務廃止のニュース聞いたけど、そんなひどい電車通勤してないのが大きいんじゃないかと思う。
— n_kyosuke (@n_kyosuke1) June 2, 2022
在宅勤務の生産性は低いと言われているが
例えば簡単な打ち合わせをする場合、オフィスならばちょっと声がけをすれば済みます。
ところが在宅勤務では先ずチャットかメールで「お伺い」を立て、時間を調整してから電話かビデオ電話で打ち合わせることになります。
これでは効率が悪いというわけです。
ただ、それだけではありません。
社内のコミュニケーション不全が原因ならば、現場からオフィス勤務に戻すべきだとの声が上がるはず。
しかし、現在の「オフィス勤務回帰」は経営陣主導で進んでいます。
彼らが最も懸念しているのは、在宅勤務による「生産性の低下」なのです。
独立行政法人経済産業研究所が2021年8月に発表したレポート「新型コロナと在宅勤務の生産性:パネルデータ分析」によると、「在宅勤務の平均的な生産性は依然として職場の生産性に比べて20%程度低い」ということです。
さらにマスクCEOのように「本当にちゃんと働いているのか?」との疑念もあり、部下の働きぶりを自分の目で直接確認したいという管理職も少なくありません。
ていうか、今月から在宅勤務廃止になって草
今まで在宅という実質休みと家事の日がなくなるからキツいんだよなあ— ホットサンドマン (@hirokisan1994) June 4, 2022
10%の改善も
ただ、同レポートによると、この1年間で在宅勤務の生産性は10%ポイント以上改善しています。
これは在宅勤務の生産性が低かった労働者がオフィスワークに戻ったことや、在宅勤務を効率化するノウハウが蓄積されたためという。
「本当にちゃんと働いているのか?」という管理職の懸念に反して、在宅勤務によって浮いた通勤時間の40%強は労働時間に充てられています。
来月から在宅勤務廃止になって地獄の出社予定なんだけど、ほんとに嫌すぎる
これまで出来てきたのに何故、、、— もなちゃん 20卒 (@77HHbEUE2zbfQVh) June 1, 2022
職種や労働環境によっては、在宅勤務でも生産性を引き上げることは十分に可能です。
オフィス賃料コストの引き下げや支給する通勤費の節約、在宅勤務を希望する人材の確保といったメリットを総合的に考えれば、コロナ収束後も活用の余地はあるでしょう。
企業にもノウハウが蓄積しているだけに、このまま在宅勤務を「コロナの徒花(あだばな)」で終わらせるのはもったいないといっていいでしょう。