
Kawasaki ZZR400は、400ccクラスにフルカウルのスポーツツアラーという居場所を作った、長寿モデルとして知られています。
初代は1990年に登場し、その後も改良を重ねながら2007年まで国内モデルが販売されました。
年式の大きな区切りとしては、1993年以前のK型と、1994年以降のN型に分けて語られることが多いです。
いま改めて注目される理由は、直列4気筒ならではの回転の滑らかさと、ツアラーらしい車格が両立している点にあります。
加えて、現代の400cc市場ではフルカウル4気筒ツアラーという選択肢がかなり少ないため、ZZR400の立ち位置がより際立っています。
2026年2月時点でも中古車は流通しており、車両状態やカスタム有無で幅はありますが、平均価格が約39.4万円と表示されている中古車情報も確認できます。
買う側としては、年式相応の消耗部品とキャブレター車ならではの癖を理解しつつ、きちんと整備されている個体を選ぶのが満足への近道です。
一方で、しっかり当たりの車両に出会えれば、高速道路の巡航やロングツーリングで「これで十分」と感じる懐の深さがあります。
この記事では、2026年2月時点で参照できるカタログ情報やオーナーレビューを土台にしつつ、ZZR400の魅力と注意点を整理していきます。
設計思想としては、同時代のレーサーレプリカとは別の方向で、走りの速さだけでなく移動の快適さも重視したツアラー寄りのスポーツを目指したモデルです。
中古車として見ると、走行距離だけで判断しにくいのがこの世代のバイクで、保管環境と定期交換の履歴が乗り味と故障率に直結します。
特にキャブレター車は、しばらく乗られずに放置された個体ほど調子を崩しやすいため、最近まで継続して動いていた車両の方が結果的に手間が少ない傾向があります。
逆に、適切な整備が入っている車両は年式の古さを感じさせない滑らかさを見せることがあり、そこが旧車的な面白さにもなっています。
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どんなバイク?
ZZR400は、フルカウルと前傾を抑えたライディングポジションを組み合わせ、日常から旅までを視野に入れたスポーツツアラーです。
見た目は大柄で存在感があり、サイドカウルまで面積の大きいフェアリングが風圧を受け流す設計になっています。
フレームはアルミ系のフレームが採用され、ツアラーとしての直進安定性を狙った骨格が特徴です。
エンジンは399ccの水冷4ストローク直列4気筒で、回転を上げていくほど気持ちよさが増すタイプです。
2007年式のカタログスペックでは最高出力が53psで、回転を使って走る性格が数字にも表れています。
その一方で、低回転が極端にスカスカというより、日常域でも扱いやすいという評価が多いのもZZR400の面白いところです。
装備面では燃料計や時計など、ツアラーらしい「あると助かる」要素が盛り込まれています。
荷掛けフックのような積載に関わるポイントが評価されることも多く、シートバッグやネットを使った旅仕様にしやすいのも利点です。
車格がある分、取り回しは軽快とは言いにくいですが、いったん走り出すと安定感に変わるという声が目立ちます。
近年の中古市場では、最終年式に近い個体から、懐かしいK型まで幅広く出会えるため、好みの外装や年式で選ぶ楽しさも残っています。
購入前に確認したいポイントは、キャブレターの同調や始動性、冷却系の状態、電装の健康度、そしてカウル固定部の割れや欠品です。
フルカウル車は外装脱着がメンテナンス工数に直結するため、整備履歴が見える車両ほど安心材料になります。
結果として、ZZR400は「普段使いもできるが、本領は旅で光る」タイプの400ccツアラーと言えます。
同じZZR400でも、外装デザインの好みやメーター周りの雰囲気で選ぶ人が多く、写真で「一目惚れ」しやすいのもこのシリーズの特徴です。
ただしフルカウルは転倒の影響が残りやすいので、外装の割れやステーの曲がり、補修跡の有無は購入前に必ずチェックしておきたいところです。
また、ラジエーター周りのフィン潰れやホース類の硬化は年式相応に起きやすく、冷却水の管理が甘い個体は夏場に不安が残ります。
普段使いメインの方は、ミラーの見え方や小回りの感覚も試乗や取り回しで確認し、生活圏に合うかを先に見極めるのがおすすめです。
ZZR400のインプレッション
まず跨って感じるのは、シートが低すぎず高すぎずで、足つきとツアラーらしい着座姿勢のバランスが取りやすい点です。
カタログのシート高は780mmとされており、400ccクラスの中では標準的な数字に収まっています。
ハンドル位置は過激な前傾ではなく、長時間でも肩や手首が固まりにくい方向に寄せられています。
街中では車体の大きさと重量感が先に来ますが、クラッチミート自体は癖が強いというより、素直に扱える印象です。
発進直後からトルクでドンと押すより、回転の上昇に合わせてスムーズに前に出るタイプなので、雑に開けても急に暴れにくいのが安心感につながります。
直列4気筒らしく振動が少ないという声があり、巡航時の疲れにくさとして評価されやすいポイントです。
高速道路に乗ると、フェアリングの恩恵が分かりやすく、胸や肩に当たる風が減ることで体力の消耗が抑えられます。
車格が効いているぶん、横風で全く無風とはいきませんが、フラつきにくいと感じる人が多いのも納得です。
そして何より、一定速度での直進が落ち着いているので、遠くへ行くほど「このバイクで良かった」と思いやすいです。
コーナリングは、軽量スポーツのようにヒラヒラというより、安定した接地感で曲がっていく方向です。
タイヤサイズが前120で後160としっかり太めなため、寝かし込みの入りは穏やかですが、倒し込んだ後は腰が据わります。
ブレーキやサスペンションは年式により差があるものの、基本はツアラーらしく快適性寄りの味付けと捉えるとイメージしやすいです。
気になる弱点としては、フルカウルゆえの熱のこもりやすさが挙げられ、渋滞や真夏の低速域では気を遣う場面があります。
また、外装を外す手間が整備性に影響しやすく、プラグ交換やエアクリ交換が大仕事になりがちという声もあります。
それでも、ツアラーとしての総合力と、4気筒サウンドの気持ちよさを400ccで味わえる点は、いまでも代えがたい魅力です。
燃費は走り方と整備状態で差が出ますが、キャブレター車としては極端に悪いわけではなく、一定速度の巡航では数字が伸びやすい傾向があります。
ただし市街地の信号待ちが多い環境では、熱と燃費の両方で不利になりやすいので、夏場は走る時間帯をずらすだけでも快適さが変わります。
また、車体が重めなぶん、タイヤの銘柄や空気圧の影響が分かりやすく、ツーリング向けのタイヤにすると乗り心地が整いやすいです。
反対に、古いタイヤのまま乗ると、直進安定性はあっても旋回の入りが鈍くなりやすいため、購入直後はタイヤ状態の確認を強くおすすめします。
ブレーキに関しても、パッド残量だけでなくフルードの鮮度とキャリパーの動きが重要で、ここを整えると安心感が一段上がります。
ZZR400のスペック

| モデル | ZZR400(国内モデル例:2007年式 / 型式 BC-ZX400N) |
|---|---|
| 発売年 | 1990年 |
| 最終年 | 2007年 |
| エンジン型式 | ZX400KE |
| エンジン種類 | 水冷4ストローク 直列4気筒 DOHC |
| 総排気量 | 399cc |
| 内径(ボア)×行程(ストローク) | 57.5mm × 38.5mm |
| 圧縮比 | 11.2 |
| 燃料供給方式 | キャブレター |
| 最高出力 | 39kW(53ps) |
| 最大トルク | 3.8kgf・m |
| 変速機 | 常時噛合式6段リターン |
| 駆動方式 | チェーンドライブ |
| 全長×全幅×全高 | 2070mm × 695mm × 1175mm |
| ホイールベース | 1430mm |
| 最低地上高 | 120mm |
| シート高 | 780mm |
| 乾燥重量 | 197kg |
| 最小回転半径 | 2.8m |
| 燃料タンク容量 | 18L |
| 燃料消費率(60km/h定地) | 35.0km/L(国交省届出値) |
| キャスター/トレール | 24°30′/96mm |
| フロントサスペンション | テレスコピック(正立) |
| リアサスペンション | ユニトラック/スイングアーム |
| フロントブレーキ | 油圧式ダブルディスク |
| リアブレーキ | 油圧式ディスク |
| フロントタイヤ | 120/60ZR17(55W) |
| リアタイヤ | 160/60ZR17(69W) |
| ホイールリム幅(前/後) | 3.5/4.5 |
| 指定空気圧(2名乗車時・前/後) | 2.25/2.50 |
| 装備(燃料計/回転計/時計) | あり/あり/あり |
| クラッチ | 湿式多板 |
| 1次減速比 | 2.441 |
| 2次減速比 | 2.705 |
| 変速比(1速〜6速) | 3.166 / 2.125 / 1.666 / 1.375 / 1.217 / 1.083 |
| スプロケット歯数(前/後) | 17/46 |
| チェーン | 530サイズ / 112リンク |
| ブレーキフルード | DOT4 |
| ヘッドライト | H4 60W/55W |
| テールライト | 21W/5W |
スペック表は年式や仕様で差が出るため、購入時は車検証の型式と現車の仕様を照らし合わせて確認するのが安全です。
特に中古車はマフラーやキャブセッティング、スプロケット丁数などが変わっている場合があるため、乗り味の印象も変化しやすいです。
旅用途で使うなら、タイヤの銘柄と摩耗状態、冷却水の管理、電装系の電圧、そしてキャブの同調状態が満足度に直結します。
また、フルカウル車は転倒歴があるとカウル固定部にダメージが残りやすいため、外装の爪やステーの状態も見ておくと安心です。
購入後の基本メンテとしては、プラグやエアクリ、オイル類、ブレーキフルード、そして冷却水の交換を一通り行うとスタートが切りやすいです。
みんなのインプレッション
『なんといっても高速道路が楽しくなります。』
『振動がほとんどなく、加速についても不満はありません。』
『フルカウルの宿命ですが、右足が熱いです。』
『取り回しについては慣れると気になりませんが、やはり重いです。』
『短所と表裏一体ではあるが、デカく重い車体。』
『故に走り出せば抜群の安定感。』
『広くフラットな形状のリアシートと、サイドカウルに付いているバンジーフックは荷物の積載時にとても便利。』
『ウン十年前に乗っていた時も思っていたが、エンジンの熱気がハンパない。』
レビューを眺めると、共通して多いのは「高速域の安定感」と「ツアラーらしい快適性」への評価です。
その反面として「取り回しの重さ」や「熱のこもり」「整備性の手間」が繰り返し登場し、長所と短所が表裏一体であることも分かります。
つまりZZR400は、軽快さだけで選ぶバイクではなく、落ち着いた巡航と旅の距離を味方にできる人ほどハマりやすい性格です。
2026年2月の中古相場は車両ごとの差が大きいため、価格だけで決めずに整備履歴と現車確認を優先し、結果的に安く上がるルートを選ぶのがおすすめです。
そして、手をかけながら長く乗るつもりで向き合うと、ZZR400は「今後もう出にくいジャンル」を体験させてくれる一台になります。

