
独ソ戦中の「メトロポール・ホテル」を舞台に、モスクワ特派員たちの女性通訳の諜報活動を逸話満載で描く、傑作ノンフィクション!
イギリスの歴史家・ジャーナリストであるアラン・フィルプス(Alan Philps)によるノンフィクション作品です。
第二次世界大戦中、モスクワの高級ホテル「メトロポール」を拠点に繰り広げられた、ソ連による凄まじい報道検閲とプロパガンダの実態を鮮やかに描き出しています。
本書の内容と注目ポイント
1941年、ナチス・ドイツの侵攻を受けたソ連は、欧米からの軍事支援を取り付けるために、自国の「負の側面」を徹底的に隠蔽する必要がありました。
その舞台となったのが、外国人記者たちが押し込められた「メトロポール・ホテル」です。
「黄金の籠」での監視:
外国人記者たちは、贅沢な食事や酒を振る舞われる一方で、活動範囲を厳しく制限され、常に内務人民委員部(NKVD)の監視下に置かれました。
鉄の検閲:
記者が書いた原稿は、ソ連の検閲官によって一字一句チェックされました。スターリンの独裁体制や飢饉、軍の失態に関する記述はすべて削除され、ソ連側に都合の良い「英雄的な物語」だけが世界に発信される仕組みでした。
ハニートラップと内通者:
ホテルで働くタイピストや通訳たちの多くは、NKVDの協力者でした。記者たちの私生活を監視し、時には恋愛関係を利用して情報をコントロールする様子が、生々しく描かれています。
隠された真実:
カティンの森事件(ポーランド将校虐殺事件)など、当時ソ連が隠し通そうとした歴史的犯罪に対して、西側の記者がいかに沈黙を強いられ、あるいは加担してしまったのかという「報道の敗北」にも焦点を当てています。
なぜ今、この本が読まれているのか
本書は単なる歴史書ではありません。現代の**「フェイクニュース」や「情報操作」の原点**を知るための重要なテキストとして評価されています。
「真実を伝えること」を使命とするジャーナリストたちが、極限状態の中でいかにして権力に飲み込まれていったのかという教訓は、現代の地政学リスクを考える上でも非常に示唆に富んでいます。
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