第164回芥川賞候補作。
元自衛官の新鋭作家が、日本人のいまだ知らない「戦場」のリアルを描き切った衝撃作。
北海道にロシア軍が上陸、日本は第二次大戦後初の「地上戦」を経験することになった。
自衛隊の3尉・安達は、自らの小隊を率い、静かに忍び寄ってくるロシア軍と対峙する。
そして、ついに戦端が開かれた――。
「文藝春秋」の芥川賞選評を読んで読みたくなった砂川文次『小隊』を買った。
緑と赤のカバーに赤いスピン、『ノルウェーの森』っぽい。本体も赤い角背。
山田詠美選評の冒頭のおねえさん辺りまで読みました。 pic.twitter.com/5FfvRBnpTD— ら・むだ (@2460Bs) February 10, 2021
「ヒーローでもエリートでも特殊部隊でもない等身大の自衛隊員達が戦場に立つ姿が描かれています。状況がどうなっているかわからないなかで、家族や恋人あるいはSNSやソーシャルゲームが気にしたりするあたりは普通の人間と何ら変わりなく牧歌的でもあります。それでも舞台は戦場、仲間の戦死を目の当たりにしたり逃げ出す事を考えだしたりもするあたりは生々しさを感じさせてくれます。
一方で、作中は何が起こっているのかわかりにくいのが難ですね。政治家とか自衛隊の上層部あたりの描写がなかったりやロシア軍がなぜ侵攻してきたのかはわからないままでした。」「釧路方面に上陸して侵攻するロシア軍を陸上自衛隊が迎え撃つ。スマホやコンビニが当たり前にある現代の日常の隣で、「西部戦線異常なし」の第一次世界大戦時と大差の無い白兵戦が繰り広げられるリアルさが恐ろしい。見慣れない熟語が多用され好みは別れると思うが、硬質な文体と具体的な描写に引き込まれる。信念や思想的な後ろ盾をもたず、仕事の一つとして選んだ自衛隊員が、実際の戦闘場面になったら最後まで闘うことができるのだろうか?」
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