
記憶喪失の少女と孤独な作家。雪深い町で彼らが巻き込まれた事件の行方は。
雪に埋もれた別荘でひっそりと暮らす作家・伊波伸二。
ある日突然、彼のもとに記憶をなくしたという少女が迷い込んできた。
行き場のない少女を匿うことになった伊波だが、少女の訪れとともに、静かだった彼の周辺で数々の異変が起こり始める。
近くの空き家で血痕が発見されたことを皮切りに、やがて次々に殺人事件が発生。
周辺では怪しい「雪男」の噂が囁かれるが、次第に伊波は身元不明の少女に疑問を抱くようになる。
彼女は一体何者なのか。
殺人事件の犯人とは?
白銀の世界で巻き起こる衝撃のミステリ。
著者について
赤川 次郎
1948年、福岡県生まれ。76年『幽霊列車』でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。以後続々とベストセラーを刊行。「三毛猫ホームズ」シリーズ、「天使と悪魔」シリーズ、「鼠」シリーズ、『ふたり』『怪談人恋坂』『幽霊の径』『記念写真』他、著書多数。2006年、第9回日本ミステリー文学大賞受賞、16年、『東京零年』で第50回吉川英治文学賞を受賞。
「赤川氏のホラー風味のサスペンス小説。通常のユーモア・ミステリの中にも、人間心理のダークな面を忍ばせる赤川氏の持ち味が出た作品。
主人公は妻殺しの嫌疑を掛けられた過去のせいで、雪の山荘に隠遁した作家の伊波。そして、伊波の家に転がり込んで来た記憶を失った謎の少女。伊波の元愛人で現在は警視庁の警部小池の妻の律子。この愛人関係が殺人の容疑になった。事件の発端は、伊波の山荘の近くの別荘で死体も無いのに血痕が滴ると言う怪奇現象。その別荘の元の持ち主、柴田夫妻の娘は五年前に別荘から失踪し、そのショックで夫はノイローゼになり、監禁された自宅の二階から転落死する。一方、柴田夫人は一癖ありそう。そして、探偵役は”雪国のコロンボ”を思わせる村上警部。村上と小池は知己の間柄で共に事件に当たる。
これらの登場人物や事象が、山荘風の喫茶店の描写から始まり、無理なく説明される展開は流石に巧い。会話のテンポの良さも手伝って、読む者を自然と物語に引き込む。謎の少女の存在がなければ軽快なサスペンス小説と言って良い。だが、ここまで読むと、どう見ても謎の少女は柴田夫妻の娘の霊で、犯人は柴田夫人としか考えられない。バリバリのダーク・ホラーである。律子が伊波を訪れるが、それを見計らったように、謎の大男が連続殺人を犯し始める。大男はこの物語の中で一体どんな役割を果たすのか ? 大男の出現を知って柴田夫人も現場に駆けつける…。
最後の畳み込みに迫力があり、事件も合理的に解決されるのだが、大男の役割がご都合主義過ぎて物足りない。最後までホラーで押し通すべきだったのではないか。一応、楽しめる出来なのだが、大男や謎の少女を前面に出した方が更に良くなったと思う。」
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