
オートバイの歴史において、メーカーが採算度外視で理想のみを追求し、後世に語り継がれる伝説となるモデルが稀に誕生します。
今回ご紹介するHONDA VALKYRIERUNE(ホンダ・ワルキューレルーン)は、まさにその歴史的傑作の一つとして、現在でも世界中のエンスージアストから熱狂的な支持を集め続けている至高のファクトリーカスタムモデルです。
このオートバイの起源は、ホンダの北米拠点であるホンダ・リサーチ・アメリカ(HRA)が考案した「T2」という名のコンセプトモデルにまで遡ります。
モーターショーの会場でこのT2がベールを脱いだ瞬間、あまりにも現実離れした近未来的なプロポーションと、常軌を逸した巨大な車体サイズに、多くの来場者やジャーナリストたちは単なる客寄せのためのショースペシャルであると信じて疑いませんでした。
しかし、ホンダはこの到底市販化不可能と思われた夢のコンセプトモデルを、ほとんどデザインを変えることなく、2003年の秋に2004年モデルとして北米市場に向けて正式に発売するという驚くべき決断を下したのです。
生産はアメリカのオハイオ州にあるメアリズビル工場で行われ、熟練の職人たちの手によって一台一台が丁寧に組み立てられるという、量産車としては異例の特別な工程が採用されていました。
あまりにも特殊な構造や専用部品の多さから生産コストは跳ね上がり、販売価格も当時のクルーザーモデルとしては破格の設定となりましたが、それでも北米市場を中心に熱心な愛好家たちの間で争奪戦が繰り広げられました。
その後、2005年頃には生産が終了したと言われており、販売期間が極めて短かったことから、日本国内に並行輸入された個体はわずか数百台程度にとどまると推測されています。
最新の市場動向を観察してみても、VALKYRIERUNEの希少価値は年々上昇の一途を辿っており、状態の良い中古車両が市場に出回ることは極めて稀で、コレクターズアイテムとしてのプレミア価格で取引されるのが当たり前の状況となっています。
メーカーが威信をかけて作り上げた究極のアート作品とも言えるこの造形美は、発売から20年以上の歳月が経過した現代の最新モーターサイクルと並べても、全く色褪せることのない強烈なオーラと圧倒的な存在感を放ち続けています。
単なる移動手段としてのオートバイの枠を完全に超越した、まさに走る芸術品と呼ぶに相応しい一台であり、所有すること自体がオーナーにとって至高のステータスとなる特別な存在なのです。
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どんなバイク?
HONDA VALKYRIERUNEを語る上で絶対に外すことができない最大の特徴は、モーターショーのコンセプトモデルがそのまま公道に飛び出してきたかのような、常識外れの巨大さと近未来的なスタイリングに他なりません。
このオートバイは「究極のファクトリーカスタム」という明確な設計思想のもとに開発されており、既存のクルーザーモデルの概念を根底から覆すための革新的なアイデアと、ホンダが持つ世界最高峰の技術力が惜しみなく投入されています。
外観のインパクトを決定づけているのは、フロント周りに採用されているトレーリングボトムリンク式のフロントサスペンションシステムです。
通常のテレスコピック式フォークとは異なり、複雑なリンク機構を用いたこのサスペンションは、ブレーキング時の極端なノーズダイブを抑制する機能的なメリットだけでなく、見る者を圧倒する重厚感とメカニカルな美しさを兼ね備えています。
さらにリア周りにも一切の妥協はなく、ホンダの最高峰レーシングマシンであるRC211Vからフィードバックされたユニットプロリンクサスペンションと、美しい造形の片持ち式プロアームが組み合わされています。
これにより、リアホイールの右半分が完全に露出するデザインとなり、流麗にカーブを描く巨大なリアフェンダーに埋め込まれた二筋のLEDテールランプと相まって、後ろ姿からもただならぬオーラを漂わせています。
エンジンの造形美も特筆すべきポイントであり、シリンダーヘッドカバーからエキゾーストパイプに至るまで、徹底的に磨き上げられた高品質なクロームメッキパーツが惜しみなく使用され、太陽の光を浴びて眩いばかりの輝きを放ちます。
この巨体を押し出す心臓部には、ホンダのフラッグシップツアラーであるゴールドウイング(GL1800)に搭載されている1832ccの水冷水平対向6気筒エンジンがベースとして採用されています。
しかし、単なる流用ではなく、VALKYRIERUNEのキャラクターに合わせて専用のカムプロファイルが与えられ、さらに吸気系には6連スロットルボディが奢られることで、よりダイレクトで荒々しいスロットルレスポンスを獲得しています。
エキゾーストシステムにも特別なチューニングが施されており、左右出しのトライアングル断面マフラーからは、水平対向6気筒ならではのポルシェを彷彿とさせるような、官能的で地響きのような重低音サウンドが轟きます。
また、メーターパネルはハンドルマウントではなく燃料タンク上部に美しくビルトインされており、キーをオンにした瞬間に青白いLEDが浮かび上がる起動時の演出機能も、オーナーの心をくすぐる心憎いギミックとして仕上がっています。
妥協を許さない専用設計のパーツ群と、深みのある最高級の塗装プロセスを経て完成したこの車体は、ホンダが本気を出せばここまでクレイジーで美しいオートバイを作ることができるという、世界に対する強烈なメッセージでもありました。
HONDA VALKYRIERUNEのインプレッション
実際にHONDA VALKYRIERUNEを目の前にすると、カタログスペックの数字以上にその威圧的なサイズ感と金属の塊感に圧倒され、乗り手にはある種の覚悟のようなものが求められます。
装備重量が400kgに迫ろうかという超重量級の車体であるため、サイドスタンドを払って車体を直立させるだけでも相当な筋力が必要であり、取り回しに関しては細心の注意を払わなければなりません。
しかし、シート高は690mmと非常に低く設定されているため、足つき性に関しては極めて良好であり、両足がベッタリと地面に届くことで停車時の安心感は確保されています。
ただし、燃料タンクが非常に長く、ハンドルまでの距離が遠いプルバックタイプのライディングポジションとなるため、小柄なライダーにとっては長時間の運転で腕や肩に疲労を感じやすいかもしれません。
いざイグニッションキーを回し、セルモーターを回して1832ccのフラットシックスエンジンを目覚めさせると、その瞬間からこのオートバイの真骨頂が始まります。
アイドリング時には不快な振動が一切なく、まるで高級精密機械のように滑らかに回り続けるエンジンの鼓動感は、ホンダの技術力の高さを肌で感じさせてくれます。
油圧クラッチを静かに繋ぎ、アクセルをわずかに開けただけで、怒涛の極太トルクが立ち上がり、400kgの巨体をまるで羽根のように軽く前方に押し出していく加速感はまさに圧巻の一言です。
走り出してしまえば、駐車場での重苦しさが嘘のように消え去り、極端に低い重心バランスとロングホイールベースの恩恵により、まるで新幹線に乗っているかのような圧倒的な直進安定性を誇ります。
見た目からは曲がりにくい直線番長のような印象を受けますが、コーナーに差し掛かるとホンダ車らしいニュートラルで素直なハンドリング特性が顔を覗かせ、巨体を見事にコントロールできる喜びに包まれます。
フロントのボトムリンク式サスペンションは、路面からのギャップを魔法のように吸収し、ブレーキング時でも車体の姿勢変化が極めて少ないため、優雅で快適なクルージングを約束してくれます。
ブレーキシステムもこの巨大な運動エネルギーを受け止めるために十分な制動力を備えており、フロントとリアが適切に連動するコンバインドブレーキシステムが、安全で確実な減速をサポートしてくれます。
高速道路を巡航している時は、右手のスロットル操作だけでどこまでも走り続けたくなるような無敵感に満ち溢れ、サービスエリアに停めれば必ず人だかりができるという、最高の優越感を味わうことができるのです。
HONDA VALKYRIERUNEのスペック
HONDA VALKYRIERUNEの圧倒的なパフォーマンスと唯一無二の設計を裏付ける、詳細な主要諸元表を以下にまとめました。
スマートフォンからでも見やすく確認できるよう、重要な20の項目を厳選してテーブル形式で記載しておりますので、このモンスターマシンの規格外のスケール感を数値からご体感ください。
| 項目 | スペック内容 |
|---|---|
| 全長 | 2,560 mm |
| 全幅 | 910 mm |
| 全高 | 1,150 mm |
| ホイールベース | 1,750 mm |
| 最低地上高 | 145 mm |
| シート高 | 690 mm |
| 車両重量 | 368 kg (乾燥重量) / 約400 kg (装備重量) |
| エンジン型式 | 水冷4ストローク 水平対向6気筒 SOHC 2バルブ |
| 総排気量 | 1,832 cc |
| ボア × ストローク | 74.0 mm × 71.0 mm |
| 圧縮比 | 9.8 : 1 |
| 最高出力 | 118 PS (87 kW) / 5,500 rpm |
| 最大トルク | 17.0 kg-m (167 Nm) / 4,000 rpm |
| 燃料供給方式 | 電子制御燃料噴射装置 (PGM-FI) |
| 燃料タンク容量 | 23 L |
| 変速機形式 | 常時噛合式5段リターン |
| 駆動方式 | シャフトドライブ |
| フロントサスペンション | トレーリングボトムリンク式 |
| リアサスペンション | ユニットプロリンク式片持ちスイングアーム |
| フロントタイヤサイズ | 150/60R-18 |
| リアタイヤサイズ | 180/55R-17 |
| フロントブレーキ | 油圧式ダブルディスク |
| リアブレーキ | 油圧式シングルディスク |
みんなのインプレッション
実際にHONDA VALKYRIERUNEを所有し、その規格外のパワーとデザインを日常的に体感しているオーナーたちの生の声は、これから購入を検討している方にとって非常に貴重な判断材料となります。
街中での視線の集め方や、巨大な車体と格闘するガレージでの取り回しの苦労、そして何にも代えがたいエンジンの鼓動感など、さまざまな角度からのリアルな感想が集まりました。
ここでは、そんなオーナーたちが語る情熱的で愛に溢れた8件の口コミインプレッションを厳選してご紹介いたします。
『圧倒的な存在感を放つこの見事なデザインは街中を走っているだけで通行人の視線を釘付けにし所有する喜びを最高潮にまで高めてくれます。』
『装備重量が四百キロ近くあるためガレージからの出し入れや渋滞での取り回しはまさに修行のようですが一度走り出してしまえば嘘のように軽快です。』
『ゴールドウイング譲りの水平対向六気筒エンジンが奏でるシルキーで滑らかな回転フィーリングと湧き上がる重低音はライダーの心を強く震わせます。』
『特徴的なボトムリンク式のフロントサスペンションがもたらすメカニカルな造形美は眺めているだけで時が経つのを忘れてしまうほどに芸術的です。』
『シート高が低いため足つきは非常に良好で安心感がありますがハンドルまでの距離が遠いため体格によってはポジションに慣れが必要かもしれません。』
『発売から二十年以上という歳月が経過しているにもかかわらず全く古さを感じさせない近未来的なフォルムは間違いなくバイク史に残る傑作です。』
『専用設計の部品ばかりでカスタムパーツは皆無に等しいですがそもそもノーマルの状態での完成度が異常に高いため手を加える必要がありません。』
『燃費の悪さやタイヤ交換などの維持費はそれなりにかかりますがこのバイクに乗ることで得られる非日常的な高揚感は決して他では味わえません。』

