
無人の船内、皮膚が剥がれた死体、顔のない異形の集団…
「この船はもう、この世のものじゃない」
大学院生の島永祐介は、意中の女性である彩夏を大型フェリー“ステラ・ブルー”で開催されるパーティに誘い出した。
しかし、待てども待てども彩夏はやってこない。
出航時刻となり、傷心のまま一人で船に乗り込んだ祐介だったが、様子がおかしいことに気づく。
誰一人として見つからないクルー、頭部が膨れ上がった乗客の死体、船に巣くう謎の怪物。
乗客は、「カロン」を名乗る人物によって意図的に招待されたことがわかり…。
阿泉来堂が贈る、惨劇が連鎖するパニックホラー!
装画:キギノビル
【目次】
プロローグ
第一章 顔のない乗船者
第二章 無人の船
第三章 疑惑
第四章 黒い回収者
第五章 悪夢の深淵
第六章 呪縛を断ち切るもの
エピローグ
バイオレントなホラー小説を得意とする作家に友成純一という人がいた。
そういえば最近作品を見ないなと思っていて調べると、昨年亡くなっていた。
ウィキペディアによると、その分類は「ホラー小説」「変態小説」「鬼畜系小説」となっている。
なかなか凄まじいラベリングだ。
だがその分類が大きく間違っていないと感じさせる小説を残している。
そんな友成純一から官能の要素を抜いたらこの小説に近い感じになりそうだ。
グチャグチャでグロ。
この小説にはそんなテイストがある。
最近はまたホラー小説が流行しているようだ。
「リング」から続く、心を真綿で締め付けるような日本的な怪談がベースになっているブームで、友成純一や、同じ籠に盛られている飴村行などの「グロ系」のホラー作家はなかなか再評価されていないのが残念だ。
そんな恵まれないジャンルに果敢に挑んでいく作家がいることは心強い。
最近はあまりホラー小説を読まないので知らなかったが、けっこうな数の作品を発表している作家だ。
設定からして、全く一般的ではなく、このジャンルが好きでなければまず手に取ってもらえないだろう。
しかし読み始めれば間違いなく、面白い。
展開は全く読めないし、「そんなバカな・・・」の連続は気持ちいい。
そして鬼畜的なラスト。
今年の夏の暑さは異常だ。
そんな異常な夏に誕生した異常なバイオレンスホラー。
著者について
北海道在住。第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞読者賞を受賞した『ナキメサマ』でデビュー。著書に『那々木悠志郎』シリーズ、『バベルの古書』シリーズ、『贋物霊媒師』シリーズ、『死人の口入れ屋』、『逆行探偵』シリーズ、『骸ノ時計』など。
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