イケズな東京 井上章一(著)、青木淳(著) 中央公論新社 (2022/1/7) 924円

150年の良い遺産、ダメな遺産

コロナ禍で東京一極集中の是正が叫ばれるが、事はそう単純ではないと井上氏。

私たちの東京への思いは複雑で、長尺の歴史から捉える必要がある。

そう、京都から東京に天皇が移り住んだ時代まで遡って。

『京都ぎらい』の井上氏に対するのは、二都を往復する気鋭の建築家・青木氏。

二度の東京五輪と大阪万博など、古今東西の都市開発のレガシーについて論じ合う。

博覧強記の二人の話は、天皇、GHQ、ナチスといった歴史の縦軸から、北京、パリ、ローマ、ロンドン、コペンハーゲンといった地理的な横軸までを駆け回る。

また黒川紀章らの建築家論や、ゴジラ、寅さん、小津映画等の話題もまじえ、「愛される建築とは何か?」「日本と西洋、どちらが自由なのか?」という文化論を掘り下げる。

著者について
井上章一
1955年京都生まれ。京都大学工学部建築学科卒、同大学院修士課程修了。京都大学人文科学研究所助手、国際日本文化研究センター助教授、同教授を経て、2020年より現職。専門の風俗史・意匠論のほか、日本文化や美人論、関西文化論など、研究範囲は多岐にわたる。『つくられた桂離宮神話』(サントリー学芸賞)、『南蛮幻想』(芸術選奨文部大臣賞)、『京都ぎらい』(新書大賞2016)など著書多数。

青木淳
1956年横浜市生まれ。建築家。東京大学大学院修士課程を修了。91年青木淳建築計画事務所(現在、AS )を設立。住宅、公共建築、商業施設など作品は多岐に渡る。《潟博物館》で日本建築学会作品賞を受賞。京都市美術館の改修に西澤徹夫とともに携わり、2回目の日本建築学会作品賞を受賞。2019年4月から同館の館長に就任。東京藝術大学教授。著書に『原っぱと遊園地』など。04年度芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。


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