
明治五年(1872年)。武士身分の廃止に帯刀の禁止――
近代化が進む明治の世は、武士という存在を置き去りにして進みつつあった。
娘の野茉莉とともに京都に移り住んだ甚夜は、昼は蕎麦屋を営みながらも、夜は相も変わらず鬼退治を生業にしていた。

新時代になったものの、鬼の討伐依頼は増え続けるばかり。
その陰には、どうやら「マガツメ」なる存在がかかわっているようだが……。
大人気和風ファンタジーシリーズの第五巻。
切なくも美しい時代の徒花たちの物語。
「本巻は鬼人幻燈抄第5巻に当たる物語で、第4巻である幕末編からは4年半の歳月が流れています。
本巻から始まる明治編は、全3巻の構成となり、物語の軸はこれまでの自らの生き方を探し彷徨う甚夜から、甚夜と野茉莉、鬼と人の親娘へと移ろいゆきます。そして、この3冊からなる明治編を以て、鬼人幻燈抄という物語が漸く折り返し地点を迎えることとなります。
本巻はその明治編の序章。舞台は新時代を迎えた京都となり、甚夜は時に父親として右往左往し、そして時に戦友三代目秋津染吾郎等と共に京に蔓延る悪鬼を屠る剣豪として活躍します。
さて、本巻には明治編の始まりとなる「二人静」や表題作である「徒花」、そのほか新たに書き下ろされた「続・雨夜鷹」等、いづれも私が大好きな物語が収録されています。しかし、何を差し置いても語らなければならないのは、鬼人幻燈抄シリーズを通しても、私が最も好きな物語の一つである「林檎飴天女抄」が収録されていることです。この物語は、もう滅多刺しの五月雨突きの如く、私の好みを深々と突き刺してくるのです。
「葛野くんは今、幸せ?」
時代を越えて問われた全く同じ質問。質問した方もされた方も、一度目とはまるで状況は異なり、そしてその回答も全く異なるものとなります。その対比が、私には尊くて、心がじんわりと暖かくなります。
そして果たされる約束たち。
表紙を見れば感嘆の溜息。
もう第5巻は涙が滲んでばかりです。
なんとなしに読み始めた鬼人幻燈抄という物語が、まさかここまで愛おしくなるとは、当初は思いもしませんでした。泣きを売りとした号泣必至の作品は、今の世には溢れかえっておりますが、私は鬼人幻燈抄明治編ほど、宛らパブロフの犬の如く涙を滲ませることとなった作品を他に知りません。
話が脱線致しましたが、次巻以降も鬼人幻燈抄は益々魅力が花開いていきます。皆さんにも、明治を生きる鬼と人の親娘の行く末を見守って頂ければ幸いです\(^o^)/」「「林檎飴天女抄」もよかったけど、「徒花」が切なくて感極まり、途中大声でセリフを読んでしまいました。
守ってきたものから裏切られるのって、つらいですよね。
時代が変わるってことは必ずしもいいことだけではないということを、物語っている気がします。」
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