滅び去った四つの都市が教えてくれる、1000年後のわたしたち
いまから1万年近く前に築かれた人類史上最初期の都市、火砕流の犠牲になったローマの華やかな都市、
運河や灌漑設備によって繁栄しジャングルに消えた王国の首都、
11世紀には当時のパリよりも多くの人口を擁した北米の大都市。
いまはなき四つの都市に焦点をあてて、都市から人類の歴史を見つめなおす。
考古学の最新の成果から繁栄と消滅を繰りかえす都市の謎をときあかし、これまであまり触れられてこなかった奴隷、労働者、女性、移民といった要素にもふれながら描き出される、あたらしい人類史。
『人類史にかがやく古代都市はなぜ消滅したのか』#読了
四つの古代都市の盛衰の過程をたずね、都市とは何かを問う著書。都市が消滅する理由は一様ではないものの、その過程が概ね漸進的で、文化の消滅と等しくないことを知る。権威主義による格差社会が社会を衰退させる一因になるという推測も。 pic.twitter.com/uJJ6ecFULq
— ikawa.arise (@ikawa_arise) October 2, 2022
「著者は専門的な研究者ではなく科学ジャーナリストである。そのためか、本文を読んでいても著者自身の調査や研究によると思わせられるような箇所は少なく、各都市ごとの専門家からの証言や考察に依拠したものがほとんどで、伝聞をそのまま伝えているような記述が非常に多い。結果的に、本書を通して全体を見通した納得できるような結論は提示されず、全体に広く浅い印象にとどまった。エピローグにある「地球は小さな人間の居住地がたくさんある惑星となり、都市はむしろ例外となるかもしれない」という著者のもっともらしい仮定も、本書の内容から導き出されたというよりは、著者の願望のように思えなくもない。テーマとしてはとても興味深いが、適当な書き手だったのかについては疑問が残った。」
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