きょうの枕草子 最果タヒ (著) 中央公論新社 (2026/2/20) 1,870円

随筆って、心が実在することを残す文学だと思うんです――。

秋田魁新報「ハラカラ」連載企画が遂に単行本化!

詩人・最果タヒが、選り抜き訳し下ろした、あたらしい『枕草子』。

矢野恵司氏のイラスト22点を掲載!

春はあけぼの。

だんだん白くなっていく、空の山に触れているところが、すこし明るくなるころ、紫に染まった雲がほそく、左右に流れているから。

夏は夜。

月があれば当然だけれど、いない闇夜も蛍がたくさん飛んでいたり、たくさんでなくてもひとつ、ふたつ、って感じで、ほのかに光って飛んでいるから好き。

雨とか降るのも、結構好きだよ。

秋は夕暮れ。

夕日がぐっと、山のぎりぎりのところまで来て、からすが寝床へと帰っていくところ。

みっつよっつ、ふたつ、みっつ、みたいにして急いで飛んでいくのがいいなぁ。

さらに言うと雁が列を作って飛んでいるのが小さく見えるのとか、すごく好き。

日が完全に沈んで、そうして風の音がする、虫の声がする、もう、これはどうにも言葉にできないなぁ。

冬は早朝。

雪が積もっている日の朝は、もちろん、言わなくてもわかるよね、霜がとても白いのとかもいいね。

でもそういうのがなくても、ものすごく寒い日に火を急いで起こして、炭火をあちこちに持って運ぶのもすごく冬の朝って感じする。

ただ昼になって、ぬるくなってゆるんでいくと、火鉢の火も気づいたら白い灰まみれで、それはほんとやだな。

(本文 一の段より)

最果タヒ
1986年生まれ。詩人・小説家。2004年よりインターネット上で詩作をはじめ、翌年「現代詩手帖」の新人作品欄に投稿をはじめる。06年に現代詩手帖賞、07年に第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞、15年に詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞、24年に『恋と誤解された夕焼け』で萩原朔太郎賞を受賞。主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17年、石井裕也監督により映画化)『恋人たちはせーので光る』『夜景座生まれ』『さっきまでは薔薇だったばく』『落雷はすべてキス』など。小説に『星か獣になる季節』『パパララレレルル』など。エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『「好き」の因数分解』『恋できみが死なない理由』『無人島には水と漫画とアイスクリーム』など。その他の著作に、百人一首の現代語訳『千年後の百人一首』(共著・清川あさみ)や案内エッセイ『百人一首という感情』、対談集『ことばの恐竜』、翻訳『わたしの全てのわたしたち』(サラ・クロッサン/共訳・金原瑞人)、絵本『ここは』(絵・及川賢治〈100%ORANGE〉)『うつくしいってなに?』(絵・荒井良二)などがある。

   
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