
歴史像の背景にある史料の読み解き方を学ぼう!
通説とされる歴史叙述の背後には、どのような史料が「隠れて」いるのだろう?
概説・史料と読み解き・ワークへとステップを踏みながら学べる一冊。
本書は、教科書などの歴史叙述の背後にどのような史料が「隠れて」いるかに気づき、それらの史料を読み解くコツを学ぶとともに、史料に基づいた歴史像とは何かを考えるために編まれたテキスト。
執筆者が「とっておきの」素材をもとに、史料を紐解き、そのおもしろさを提示することで、読者はある歴史像の背景には必ず史料が存在することを意識しつつ、歴史的な事象を多角的に考えることができる。
各章は当該テーマの概説・史料と読み解き・ワークという展開で構成され、初学者も理解しやすい工夫が充実。
【目次】
序 章 史料を紐解き,過去の世界に旅しよう(図師宣忠・中村敦子・西岡健司)
1 過去の世界に触れるために
2 そもそも史料とは?
3 本書の構成
4 本書の使い方
第Ⅰ部 権威と統治
第1章 王は「強かった」のか?──ノルマン征服とウィリアム征服王(中村敦子)
1 概 説
(1)中世ヨーロッパの王
(2)ノルマン征服とその舞台
(3)教科書にみるイングランド王
2 史料と読み解き
(1)手がかりとしての証書史料
(2)王の存在とは
2 ワーク
第2章 イコノクラスムのはじまりとレオン3世──8世紀のビザンツ帝国をとりまく世界(小林 功)
1 概 説
(1)教科書でのイコノクラスム
(2)イコノクラスムはなぜはじまったのか
2 史料と読み解き
(1)『テオファネス年代記』の記述から
(2)『簡約歴史』の記述から
(3)2つの史料の異同
3 ワーク
第3章 聖性・儀礼・象徴──中世後期チェコの国王戴冠式式次第より(藤井真生)
1 概 説
(1)中世ヨーロッパのキリスト教化
(2)キリスト教的儀礼
(3)教科書における聖性と儀礼
2 史料と読み解き
(1)連 ?
(2)塗 油
(3)権 標
(4)誓 約
3 ワーク
史料への扉1 アイスランド・サガ──過去の真実を物語る(?松本 涼)
史料への扉2 史料としてのビザンツ文学(上柿智生)
第Ⅱ部 教会と社会
第4章 辺境にみる西欧カトリック世界──13世紀スコットランドの一証書を通して(西岡健司)
1 概 説
2 史料と読み解き
(1)教皇の権威とカトリックの階層的秩序
(2)宗教的指導者かつ領主としての教会人
(3)修道院の普及と多様性
3 ワーク
第5章 正統と異端のはざまで──南フランスの異端審問記録にみる信仰のかたち(図師宣忠)
1 概 説
(1)キリスト教の正統と異端
(2)教科書記述にみる異端カタリ派
2 史料と読み解き
(1)異端者の追跡
(2)審問官による尋問
(3)異端者の行方
3 ワーク
第6章 魔女裁判って中世ですよね?──例話集にみる魔術と悪魔(轟木広太郎)
1 概 説
2 史料と読み解き
(1)史料の枠組みからみえること
(2)具体的な表現を掘り下げる
3 ワーク
第7章 「十字軍」とは何か?──12世紀の公会議・教会会議決議録より(櫻井康人)
1 概 説
(1)教科書における「十字軍」の記述
(2)日本における「十字軍」の記述の問題
2 史料と読み解き
(1)12世紀の公会議・教会会議にみる「十字軍」
(2)「十字軍」の本質
(3)「十字軍」の目的と対象
3 ワーク
史料への扉3 社会を通して大学を,大学を通して社会を読む(中田恵理子)
第Ⅲ部 都市と農村
第8章 都市と領主の付き合い方──中世のフランドル地方をめぐって(青谷秀紀)
1 概 説
(1)中世ヨーロッパの自治都市
(2)教科書における中世のフランドル(都市)
2 史料と読み解き
(1)『ヘント編年誌』にみるフランス・フランドル(都市)関係
(2)君主間の関係
(3)君主・都市間の関係
(4)集団の曖昧なかたち
3 ワーク
第9章 つながり合う都市──ロンバルディア同盟にみる「都市同盟」の意味(佐藤公美)
1 概 説
(1)都市史と国家史のはざま
(2)「都市同盟」を解剖する
2 史料と読み解き
(1)レガリアについて
(2)コンソレについて
(3)フォドゥルムについて
(4)地域のリアルなすがた
3 ワーク
第10章 都市と農村のあいだ──北イタリア・バッサーノの条例集にみる自治(髙田京比子)
1 概 説
(1)中世都市の成長と自治権の獲得
(2)都市と農村の自治
(3)北イタリアの半都市的集落
2 史料と読み解き
(1)バッサーノの条例集の概観
(2)条項の具体例とその読み解き
(3)バッサーノの自治をめぐって
3 ワーク
第11章 抑圧された農民??──中世ドイツの農村社会(田中俊之)
1 概 説
(1)3つの情景
(2)農民をどのようにイメージしてきたか
2 史料と読み解き
(1)踊る農民たち
(2)時代背景を探る
3 ワーク
史料への扉4 公証人記録──名もなき人々の生きた痕跡を探る(高田良太)
付録 中世ヨーロッパに関する史料の和訳図書リスト
索 引
・『キリスト教から読み解くヨーロッパ史』
・『史料と旅する中世ヨーロッパ』
・『よくわかる歴史社会学』の3冊です。昨年末からずっと楽しみにしてました。
あと、たしかに『「主権国家」再考』も欲しい。 https://t.co/EQuW4I6xh5— Takahaschi (@hanazawarealtor) March 14, 2025
著者について
[編著者]*本情報は刊行時のものです
図師宣忠(ずし・のぶただ)
2004年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程歴史文化学専攻研究指導認定退学,博士(文学)
現 在 甲南大学文学部教授
主 著 “Negotiations and the Use of Documents in 13th Century Toulouse”, in Yoshihisa Hattori (ed.), Political Order and Forms of Communication in Medieval and Early Modern Europe, Rome, 2014
「彷徨える異端者たちの足跡を辿る──中世南フランスにおける異端審問と「カタリ派」迫害」服部良久編『コミュニケーションから読む中近世ヨーロッパ史──紛争と秩序のタペストリー』ミネルヴァ書房,2015年
「異端者の情報にアクセスする──中世南フランスにおける異端審問記録の作成・保管・利用」髙田京比子・田中俊之・轟木広太郎・中村敦子・小林功編『中近世ヨーロッパ史のフロンティア』昭和堂,2021年
中村敦子(なかむら・あつこ)
1998年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程西洋史学専攻研究指導認定退学,博士(文学)
現 在 愛知学院大学文学部教授
主 著 「ウィリアム征服王と息子たち──宮廷集会と証書発給にうかぶ家族の秩序」服部良久編『コミュニケーションから読む中近世ヨーロッパ史──紛争と秩序のタペストリー』ミネルヴァ書房,2015年
「11世紀前半のノルマンディ公と地方貴族──西部を中心に」朝治啓三・渡辺節夫・加藤玄編『〈帝国〉で読み解く中世ヨーロッパ──英独仏関係史から考える』ミネルヴァ書房,2017年
「スティーヴン王期のチェスター伯と北部ウェールズ──境界をまたぐネットワーク形成」髙田京比子・田中俊之・轟木広太郎・中村敦子・小林功編『中近世ヨーロッパ史のフロンティア』昭和堂,2021年
西岡健司(にしおか・けんじ)
2007年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程西洋史学専修研究指導認定退学
現 在 京都女子大学文学部准教授
主 著 「巡る王,集う人々──スクーン宮廷からみた中世盛期スコットランド王国」服部良久編『コミュニケーションから読む中近世ヨーロッパ史──紛争と秩序のタペストリー』ミネルヴァ書房,2015年
「「古き同盟」とスコットランド王国共同体──13~14世紀フランスとの同盟関連文書の分析から」朝治啓三・渡辺節夫・加藤玄編『〈帝国〉で読み解く中世ヨーロッパ──英独仏関係史から考える』ミネルヴァ書房,2017年
「中世盛期スコットランドにおける教皇特任裁判官による紛争解決──人的交流の観点から」髙田京比子・田中俊之・轟木広太郎・中村敦子・小林功編『中近世ヨーロッパ史のフロンティア』昭和堂,2021年
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