![死神の精度 伊坂幸太郎 (著) 文藝春秋 (2008/2/8) 770円](https://abundant.jp/mystyle/wp-content/uploads/2024/06/hinagata-コピー-7.png)
1、CDショップに入りびたり、 2、苗字が町や市の名前であり、 3、受け答えが微妙にずれていて、 4、素手で他人に触ろうとしない。
――そんな人物が身近に現れたら、それは死神かもしれません。
1週間の調査ののち、その人間の死に〈可〉の判断をくだせば、翌8日目には死が実行される。
クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う6つの人生。 日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作ほか、「死神と藤田」「吹雪に死神」「恋愛で死神」「恋路を死神」「死神対老女」を収録。
「この小説は、死の査定人「死神」の短編小説です。死神と言うと、落語の「死神」は人の死を看取る典型的な死神ですが、本作の主人公は対象人物の1週間観察し、自動車事故の保険会社のような死の査定を行う死神を仕事にしています。
伊坂さんの小説のイメージは、長編小説で伏線回収が魅力的かと思います。しかし本作は短編なので、複雑な長編を読みづらい方でも読みやすいと感じました。作者が恣意的に枝葉を省いて、ストリーの幹のみとしたと感じです。
私は寝る前に、短編小説や30分ドラマを見るのが好きなのですが、翌日仕事があるのに長編を読むのは腰が重いという大人にも本書はお勧めです。伊坂さんぽい洋画のような台詞回しや伏線回収・どんでん返しはちゃんとあります。」
「死神は感性は人間とはかけ離れているところもあるけれど親近感の沸くキャラクターで、それ以外も暖かさを感じるキャラが多かった。
クスっと笑えるところもあり、伏線回収もあり、考えさせられるところもありメチャクチャ面白かった。
特に旅人と死神、老女VS死神が面白かったです!」「読者を退屈させずに物語りが進んでいき楽しく読めた。死神千葉さんが身近に感じられ好感が持てる
存在となってきた。
別々の話しのようだが繋がっていれのも面白かった。」「死神がこの世に下りてきて、人々の生死の判断(主に死についてゴーサインをだす)の調査をするという、伊坂作品らしい突飛かつユーモラスな設定。死神の世界も官僚的だったりサイロだったりするあたり(情報は聞かないと教えてくれない、とか)は社会生活の不条理を味わった大人にはクスリと笑みをもたらします。
そんな作品ですが5つの短編集といった風合い。
・死神の精度
・死神と藤田
・吹雪に死神
・恋愛で死神
・旅路を死神
・死神対老女
の6つ。・・・
表題作『死神の精度』は、オタク系女子の生死判断。ネクラでクレーマーに好かれ始めているという流れなのだが、その顛末が伊坂作品らしい。死神が無類の音楽好きという性質はやや狙いすぎか。タワレコとかの視聴コーナに長居していればそれは死神って、最近でもまだあるのかしら。『死神と藤田』は、滅びゆく任侠世界のヤクザたちの散り際の儚さを描くもの。真っすぐすぎて仲間からも煙たがれるというのは良くありますよね。ヤクザの場合、それは死に至ります。
『吹雪に死神』は、アガサ・クリスティの『マウス・トラップ』ばりの密室殺人事件。もちろん死神にはおおよその死の原因が分かっており、「同僚」がちらほら見え隠れることも。
『恋愛で死神』は、イケメンが敢えてダサメンに扮しているなか、とある女性に恋しちゃうという、キュン系な話。イケメンと死神とのやり取りが面白い。
『旅路を死神』は、なんとも伊坂作品らしいキャラ設定。母親に傷を負わせ、若者を殺した男が、リーマンに扮した死神の車をジャックし、奥入瀬に向かう。若者の若気の至りが実は誤解によるものだと本人が徐々に分かる塩梅がいい。言葉の端々から本人は根っからの悪い奴じゃないってことが分かるのね。
最後の『死神対老女』は何と死神の雰囲気を嗅ぎ付ける老美容師の話。伊坂氏らしいといえば、別の作品とのリンケージでして、本作の別の短編でこの老美容師は登場しています。もう一つ、確か第一話で『見送り』になったネクラ女子はこの短編で再登場するのだと思います。この代わり映えもまた楽しい。
・・・
ということで、伊坂氏の短編集でした。相変わらず洒脱な会話が冴えわたる作品でありました。ツイストが効いているという風ではなく、むしろ微熱的面白味が通底する作品であったと思います。」
『死神の精度』/伊坂幸太郎
死神の視点から見た人間が新鮮に見えた。微妙にズレているやり取りに、曖昧な表現を用いて会話をしていることが多いなと気付かされた。
生きていると何が起こるかは分からない。それを強く感じさせる第六話に、雑念が振り払われたような清々しさがありました。#読了 pic.twitter.com/DowQcbHtx7— シン (@snnskbook) December 4, 2023
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