ササッサ谷の怪 コナン・ドイル奇譚集 コナン・ドイル (著), 小池滋 (翻訳), 北原尚彦 (編集) 中央公論新社 (2024/5/22) 990円

シャーロック・ホームズはここから始まった?

幻のデビュー作「ササッサ谷の怪」から、ストランド・マガジン最後の掲載作品「最後の手段」まで。

ミステリーのみに留まらない希代のストーリーテラー、ドイルの魅力を再発見する名短篇全十四編を収録。

〈解説〉北原尚彦

著者について
コナン・ドイル

一八五九年生まれ。イギリスの医師、作家。八七年『緋色の研究』を皮切りとした探偵小説「シャーロック・ホームズ」シリーズで世に知られる。主な著作に『シャーロック・ホームズの冒険』『ジェラール准将の功績』『失われた世界』など。一九三〇年没。

小池滋
一九三一年、東京生まれ。英文学者、翻訳家、鉄道史研究家。旧東京都立大学名誉教授。ディケンズをはじめとした十九世紀英文学を専門とした。八〇年に『英国鉄道物語』で毎日出版文化賞を受賞。二〇二三年没。

北原尚彦
一九六二年生まれ。青山学院大学理工学部物理学科卒。作家、翻訳家、ホームズ研究家。日本推理作家協会会員。日本古典SF研究会会長。一九九〇年『ホームズ君は恋探偵』(北原なおみ名義)で小説家デビュー。小説『シャーロック・ホームズの蒐集』と研究書『シャーロック・ホームズ語辞典』で日本推理作家協会賞候補。ほか小説『ジョン、全裸連盟へ行く』『ホームズ連盟の事件簿』等、研究書『シャーロック・ホームズ秘宝の研究』等、訳書キム・ニューマン『モリアーティ秘録(上・下)』等。ドラマ『ミス・シャーロック』の監修を務める。

「本書は、【コナン・ドイル未紹介作品集】として刊行された『ササッサ谷の怪』『真夜中の客』『最後の手段』(小池 滋 監訳、1982~1983年、中央公論社のC★NOVELS)収録作品から選び、巻末に北原尚彦氏の解説を載せたものです。収録された14篇のタイトル並びに初出は、以下のとおりです。

・ササッサ谷の怪 〈チェインバーズ・ジャーナル〉1879年9月6日号
・アメリカ人の話 〈ロンドン・ソサエティ〉1880年クリスマス号
・退役軍人の話 〈オール・ザ・イヤー・ラウンド〉1882年9月2日号
・幽霊選び──ゴアズソープ屋敷の幽霊 〈ロンドン・ソサエティ〉1883年12月号
・辻馬車屋の話──ロンドンの四輪辻馬車屋の奇妙な経験 〈カッセルズ・サタデイ・ジャーナル〉1884年5月17日号
・ハンプシャー州の淋(さび)しい家 〈カッセルズ・サタデイ・ジャーナル〉1885年5月2日号
・エヴァンジェリン号の運命 〈ボーイズ・オウン・ペイパー〉1885年クリスマス号
・真夜中の客 〈テンプル・バー〉1891年2月号
・やりきれない話 〈ピープル〉1891年11月29日号
・連隊のスキャンダル 〈インディアナポリス・ジャーナル〉1892年5月14日号
・業師(わざし)ウィルキーの思い出話 〈チェインバーズ・ジャーナル〉1895年1月19日号、1月26日号
・死の航海 〈サタデイ・イーヴニング・ポスト〉(フィラデルフィア)1929年9月28日号。本書の底本は、〈ストランド・マガジン〉1929年10月号
・教区雑誌 〈ストランド・マガジン〉1930年8月号
・最後の手段 〈リバティ〉(ニューヨーク)1930年8月16日号。本書の底本は、〈ストランド・マガジン〉1930年12月号

このなかでは、次の話が面白かったです。
★「エヴァンジェリン号の運命」‥‥‥大好きなエドガー・ライス・バローズの『時間に忘れられた国(全)』をちょいと思い浮かべた冒険譚。話の展開が分かっていてもなお、コナン・ドイルのストーリーテリングに、わくわくしました。
★「やりきれない話」‥‥‥オー・ヘンリー風の話なんだけど、これがまあタイトル通り、なんとも〝やりきれない話〟で。本作品の編者解説文にも、「これなあ。なんともなあ」と、ため息つくしかなかったっす。
★「業師ウィルキーの思い出話」‥‥‥序盤からなんだか、【シャーロック・ホームズ】シリーズの短篇ぽい風情(ふぜい)があって、楽しめました。訳文も良かったのかな。情景が目に浮かぶようでした。
★「死の航海」‥‥‥なかなかに趣(おもむき)のある〝架空戦記〟短篇。まるで見てきたように語るコナン・ドイルの幻視力、描写力は、やはりたいしたもんですわ。」


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