同じ大卒でもこれほど年収が違うとは…「大企業」と「中小企業」の酷い給与格差
同じ大学に通っていたのに、気が付けばずいぶんと差がついたなあ……。
同級生と自分と比べて、こう考えたことがある人も多いのではないでしょうか。
漠然と他人と給与を比べて、落ち込むことも。
果たして、勤める会社によって、どれほどの給与に差がつくのでしょうか。
厚生労働省の統計から、企業規模に注目して考えていきます。
目次
企業勤務と中小企業勤務の給与差「平均200万円」…生涯賃金に換算すると
――やっぱり、働くなら大企業だな
コロナ禍で苦境に立たされる企業が多いなか、大幅な減益や赤字を記録したというニュースを耳にすることがありますが、なんだかんだいって「大企業が倒産し、社員が路頭に迷う」という話はなかなか聞かないものです。
「社員に利益を還元せずに、内部留保ばかりが……」という批判も聞こえてきますが、未曽有の危機を前にして経営を存続させ、今まで通り働けていることに感謝している人もいるのではないでしょうか。
もちろん、この危機に耐え切れず、倒産、廃業となったり、事業縮小に迫られたり、給与・賞与減となったり……いまなお苦境に立たされている企業は多くあります。
それでも大企業優位の構図は、このコロナ禍でより鮮明になったといえるでしょう。
厚生労働省『令和2年度賃金構造基本統計調査』によると、大卒男性(平均42.7歳、平均勤続13.2年)の平均年収*は637万9,300円。
年齢別にみていくと20代前半では330万円強だった年収は、年齢が上がるにつ入れて増えていき、50代前半で800万円を突破。
50代では同水準をキープする、というのが平均です。
*「きまって支給する減給給与額」と「年間賞与、その他特別給与額」から算出
【大卒男性「年齢別年収」の推移】
- 「20~24歳」3,340,700円
- 「25~29歳」4,404,900円
- 「30~34歳」5,234,900円
- 「35~39歳」6,103,500円
- 「40~44歳」6,876,100円
- 「45~49歳」7,586,400円
- 「50~54歳」8,690,100円
- 「55~59歳」8,356,100円
- 「60~64歳」5,692,200円
出所:厚生労働省『令和2年度賃金構造基本統計調査』より算出
大企業の労働者
大多数の中小企業の労働者
非正規雇用労働者
外国人研修生皆、労働者なのだが大きな分断と格差がある
昔と違うのは縦と横の団結が無く個人がより分断されている。団結し個々人の力を取り戻さなくてはいけないがもう戻れないと感じる
せめて自分の周辺の人と団結し大切にし生きたい— frends117117 (@frends117117) November 6, 2021
大企業と中小企業では
では年収を従業員規模1,000人以上の大企業と、従業員規模10~99人の中小企業で比べてみましょう。
大卒男性・大企業勤務(平均42.3歳、平均勤続14.9年)の平均年収は725万6,100円。
一方、中小企業勤務(平均44.3歳、平均勤続10.8年)の平均年収は514万9,400円。
同じ大卒という学歴ですが、勤務先の規模で200万円の年収差が生じています。
さらに年齢別にみていくと、20代前半で50万円近くある年収差は、50代には300万円以上に拡大。
生涯年収にすると、8,668万円もの差になります。
岸田って分かってないな。賃金上げなんか先行してやったら中小企業とか体力の無いところが爆死するやろ。
すると5人でやってた作業を4人でやらせるようになるで?
切られる奴が増えるやろ。派遣とかバイトとか、それで仕事がしんどくなるんよ。
儲かってる大企業だけが賃上げして格差拡大。— プリこ (@ataipurko) November 10, 2021
なぜ大企業と中小企業の給与差はここまで大きいのか?
大卒という同じ立場ながら、生涯で8,000万円を超える収入差。
もちろん、大企業、中小企業といっても、事情は異なりますし、中小企業でも高賃金で有名なところもあります。
しかし、全般的には大企業のほうが有利であるというのは明確な事実です。
なぜ、ここまで大企業と中小企業で差が生じてしまうのでしょうか。
中小企業による『令和元年中小企業白書』をみると、大企業と中小企業では従業員一人当たり付加価値額(労働生産性)に2.5倍近くのが差が生じていることがわかります。
また国際比較においても、日本企業の労働生産性は、OECD加盟36ヵ国中21位とOECDの平均以下。首位のアイルランドの半分程度の水準です。
さらに2015年~2018年における労働生産性の平均上昇率はマイナスを記録。
OECD平均を大幅に下回り、加盟36ヵ国中35位となっています。
日本の企業の9割以上が中小企業という状況から考えると、世界的に日本企業の労働生産性が低いのは、中小企業の労働生産性の低さによるところが大きいといえるでしょう。
労働生産性が低いことには、従業員の給与があがるはずもありません。
「中小企業から搾取する大企業」という構図が問題視されることもありますが、中小でも高収益、高給料を誇る企業があります。
昨今、DX化の推進などで、労働生産性向上を目指す動きが加速しています。
それは中小企業も同様です。その流れに乗り遅れる企業は淘汰されるといわれていますし、政府もこれまでのように中小企業を無条件に支援することはなくなるともいわれています。
――うちは下請けだから
そんな愚痴が聞こえてくる中小企業からは脱出しないと未来がない時代は、すぐそこまで迫っているのかもしれません。
自身の給与をあげるためにも、次の一手を考えなければいけないタイミングです。
グローバル化された大手企業ほど経済合理性が尊重されていき、地方の中小企業ほど人間関係による商文化を守ろうとする。ここに中小が大手から搾取されてしまう構造があるのだが、かといって中小企業が経済合理性を重視したところで、中々、付加価値を産み出せるわけではない。まさに格差社会である。。
— 依田悠亮 (@yusuke_yoda) November 9, 2021
ネットの声
「給料は残念ながら大企業の方が高いですね。お金が全てだとは思いませんが、あっても困らないし人生の選択肢は増える。仕事するにも下請けは逆らえないからストレスも多い。まあ給料高い人もストレスはあるけど。やっぱり出来るなら大企業で働いた方が良いことは多いですね」
「以前給料がそこそこの大企業に勤めておりましたが、人間関係が原因で退職しました。今は中小企業に転職して給与はかなり下がりましたが、人間関係はとてもいいです。今の方が充実した生活を送っています。」
「中小企業の大卒と大企業の高卒では、生涯賃金はどうなるのでしょうか、同じようであれば、学歴優先でFラン大に行くことは最悪に思えます。ただし、高卒での大企業就職での職種は限られるものがあるでしょう。ただ、トヨタ自動車のように職人の技術の伝承の為に優秀な工業高校の生徒を採用している事例もあるようですね。」