1793 ニクラス・ナット・オ・ダーグ (著), ヘレンハルメ美穂 (翻訳) 小学館 (2022/7/6) 1,342円

北欧発大型歴史ミステリー、待望の文庫化!

1793年。

フランスでは革命の混乱が続き、その年、王妃マリー・アントワネットが処刑された。

スウェーデンにも余波は広がり、前年1792年には国王グスタフ3世が暗殺されている。

無意味な戦争と貧困にあえぐ庶民の不満と王制への不信がマグマのように煮えたぎる、混沌のストックホルム。秋のある日、湖で男性の遺体が発見された。

遺体の四肢は切り落とされ、眼球と舌と歯が奪われ、美しい金髪だけが残されていた。

結核に冒されたインテリ法律家と、戦場帰りの荒くれ風紀取締官が殺人事件の謎を追う――。

2018年スウェーデンベストセラー第2位(PB部門)、「このミステリーがすごい!」2020年海外編第8位。貧しく、汚く、腐敗した18世紀の北の都とその中で正義を貫こうとする者たちを、スウェーデン最古の貴族の末裔が大胆かつ繊細に描く、重厚でスリリングで濃密な、大型北欧歴史ミステリー、待望の文庫化。

三部作『1794』『1795』も2022年秋、連続刊行。

「歴史物が好きなのとミステリー好きが高じて購入しました。翻訳物は、翻訳される方により好き嫌いが生じてきますので迷いましたが、面白さと相まって久しぶりに夢中になって一晩で読み上げました。1793年というフランス国王が処刑された激動の年がミソになっていて、当時の風俗等がリアルに描写され、フランス革命がヨーロッパ諸国にどれほどの影響を及ぼしたのか、窺い知ることが出来ます。流れ着いた陰惨な遺体。腐敗した貴族、おぞましい館、逃れるような快楽、堕落、酸鼻を極める四肢切断の描写と重々しい展開。推理物として読むには、ご都合すぎないか?と首を傾げてしまいますが、何故、犯人がここまでしなければならなかったのか、ヤンデレBLと言ってしまったら、軽すぎでしょうか。」

「1793年スウェーデンはストックホルム。享楽に溺れる貴族、貧困にあえぐ庶民、酒と博打にあけくれるゴロツキ、娯楽と化した公開処刑、し尿と廃棄物のあふれた湖、その描写は、むせるような人いきれと漂う悪臭が感じられるほどです。そんなストックホルムの湖から凄惨な男性の遺体が発見されます。重い結核に冒され余命幾ばくもない法律家ヴィンゲは、知己の警視総監の依頼を受け、風紀取締官カルデルと共に捜査に乗り出します。常に嫌な予感がつきまとう展開は「どうなっちゃうの?」「もう勘弁して!」とハラハラし通しで、でも、先が気になりページを繰る手が止まりません。この作品はミステリを解く楽しみより(けしておろそかというわけではありません)、殺伐とした世の中で見せる人の心情が胸を打つ作品です。それは病に蝕まれながらも被害者の無念を晴らそうとするヴィンゲの信念、被害者を思うカルデルの怒り、誇りを捨てない人たちの行動です。最後に真相を知ったヴィンゲがとった行動とは…。三部作とのことで、続編が待ち遠しいです。」

「1793年のスウェーデンが舞台ですが、当時の状況などが感じられる歴史的な重さと、発端となる溺死体の謎、
当時の人が置かれた状況の暗さなど、色々な要素が上手く混ざった作品でした。

雰囲気が暗く、主人公も暗い感じで、終始重い感じですが、一つずつ明らかになっていく事実に引き込まれます。」


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