本書は一般的な戦争体験記ではない。
太平洋戦争末期(1944)のルソン島から捕虜収容所を経て奇跡的に生還した兵士(語り手)と著者(聞き手)との絶妙な関係性から生まれた戦場の漂流記である。
1960年代後半に、語り手・半田正夫さんと著者・稲垣氏はトカラ列島(中之島)で出会っている。
稲垣尚友 著、半田正夫 語り『戦場の漂流者 千二百分の一の二等兵』(弦書房)入荷。著者のご厚意で流通に先んじて拝読し、圧倒されました。大牟田に生まれ与論島で育ち、船舶工兵として入営し出征、戦後は中之島に暮らした半田正夫氏(1922-2014)の終戦までの前半生が鮮やかに語られています。 pic.twitter.com/0wQnHlJwZf
— 東京堂書店@神保町 (@books_tokyodo) February 23, 2021
この本は半田さんが自身の心に刻みつけた記憶を、他の誰でもない稲垣氏に語り尽くすことを切望してまとめられた。
ユーモアに満ちた語り、過酷な状況の中でも必ず「希望」を見出したそのしたたかさに感銘と爽快感を覚える稀有の書。
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