二十年の時を経て再び動き出した時計は、思いがけない結末へと進んでいく。
青春時代に想いを寄せた女性と、偶然再会を果たす貴藤
互いに忘れることのなかった記憶が、くさりのように重なりつながっていく。
しかし、ある夜の彼女の一言で二人の関係は急展開を迎える。
過去と現在が織りなす、切ない愛の物語
大阪の家電メーカーに勤める48歳の貴藤一郎は、休暇で一人沖縄に来ていた。
ホテルの部屋でブランディを飲み、チャイコフスキーのピアノコンチェルトNo.1を聴きながら、貴藤はある青春の出来事。
二十年前、瀬戸内海の蜜柑の取れる小さな島で、荻野聖子と過ごした神秘的な時間を思い出していた。
その日、貴藤は同じホテルのロビーで彼女によく似た女性を見かけたのだった。
二十年の時を経て再会を果たす二人。沖縄から大阪に戻ってからも同じ時間を過ごし、互いに惹かれあうのだが、彼女には秘密があった。
二人の再会は、幸運か、不運か。
そして、誰かが傷つかなければならないのだろうか。忘れられない恋の記憶を思い起こさせる純愛小説。
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