刃紋 神山裕右 (著) 朝日新聞出版 (2024/5/7) 2,420円

名古屋で探偵業を営む草萊の元に舞い込んだ行方不明者の捜索依頼。

関東大震災の混乱の中、数少ない手掛かりを頼りに調査を進めるが、関係者は次々と不審な死を遂げていき……。

乱歩賞の著者による13年振りの新作ミステリー。

『カタコンベ』で乱歩賞を史上最年少で受賞しデビューした神山裕右の、実に13年ぶりになる新刊だ。

名古屋で探偵社営む草莱一子ものもとへ、奇妙な書簡を携えた女性が独逸からやって来る。

草莱は、旧知の男の娘だというその女性から、日本人ある実母の行方を探して欲しいと依頼されるが、どうにも気が進まない。

草莱には「この依頼を受けることで、パンドラの匣をひらくことになるような」気がしていた。

結果的に、その予感は当たるのだけれど、大正末期の時代背景とあいまって、凄まじい「世界」を見せられた強烈な感慨が読者にも残る。

「何度も読むのをやめようかとも思いました。
神山裕右氏の作品を読むのは「カタコンベ」以来になります。
関東大震災(大正12年)後の日本。探偵、草?は、獨逸から来た女、ハンナ・ベルリナァの訪問を受け、行方不明者の捜索を依頼されます。大正ハードボイルドとでも呼ぶべき仕上がりではありますが。
その時代を浮き彫りにすべくふられたルビという<意匠>は言ってしまうとかなり読みにくいものでした。
舞台が名古屋から東京へと移行したあたりからギアが上がり、そこから九州の或る場所へと辿り着き、やっと面白く読むことができるようになりました。しかしながら、(労作だとは思いますが)謎解きを複雑にしようとしているためか、そのストーリー・テリングの不自然さに何度も読むのをやめようかとも思いました。おそらく本書にとって、私は良い読者とは言えなかったのかもしれません。よって、今回は語らずに、短めに。」


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