オール・グリーンズ万事快調 波木銅(著) 文藝春秋 (2021/7/5)

満場一致で第28回松本清張賞を受賞

時代の閉塞感も、小説のセオリーも、すべて蹴散らす、弱冠21歳の現役大学生による破格のデビュー作

このクソ田舎とおさらばするには金! とにかく金がいる! だったら大麻、育てちゃえ(学校の屋上で)。

茨城のどん詰まり。クソ田舎の底辺工業高校には噂があるーー。表向きは園芸同好会だが、その実態は犯罪クラブ。メンバーは3人の女子高生。彼女たちが育てるのは、植物は植物でも大麻(マリファナ)だった!

ユーモラスでオフ・ビートな文体が癖になる、中毒性120%のキケンな新時代小説

おもしろかった。「万事休す」の状況なのに、この愉快さ。作者には天性の資質が感じられた。この賞が人生を狂わせないことを切に願う。–中島京子

頭ひとつ抜きん出ていた。登場人物たちの過剰な自意識に何度も笑わせてもらった。皮肉とユーモアのセンスがずば抜けていて、これは努力では身につかないものだ。–東山彰良

正直、粗の多い作品だとは思う。巧いとは一度も感じなかった。が、際立って面白かったのは事実。–森絵都

読みながら、そのセンスの良さに何度も唸り、選考委員としてこの作家のデビューに立ち会いたいと思った。–辻村深月

先を見通しているのか、後ろが見えていないのか。
でも、少なくとも作者には今がはっきり見えている。何者なのか見極めたい。–京極夏彦

「舞台は茨城県の東海村。

田舎の工業高校に通う3人の女子高生が、鬱屈した思いを晴らすべく大麻栽培に辿りつく、という一瞬「は?」と思う設定です。
ところが、いじわるなユーモアを含んだ女の子たちのセリフの応酬が面白くてサラッと一気に読みました。
過剰な田舎コンプレックス、家庭での満たされなさ、10代後半特有のあらゆる対象への苛立ち、根拠のない無敵感、それで繊細。
これらをない混ぜにした感情にドキドキさせられます。
作中にはオタクが話し出したら止まらないという勢いで、たくさんの映画や音楽、小説が出てきて、女の子たちの背景、セリフに味わい深さを与えています。
この作者何歳なの?と少し困惑する程詳しいですね。
どれもサブカル(と言われるもの)に熱を上げていた人には馴染みがある作品で、懐かしさと恥ずかしさで苦笑いするかもしれません。
この小説は、そもそも大麻があり、他に未成年飲酒、タバコ、深夜徘徊 という場面があるので、そういった事を真に受けて不快に思う方にはオススメできません。
個人的には楽しめました。疾走感のあるラストも映像的で面白かったです。」


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