
ポール・オースターの前作『4321』は著者をして
「この本を書くために一生待ち続けていたような気がする」と言わしめ、
1947年生まれの複数のファーガソンの青春と成長を描いた集大成的大著でした。

遺作となる本書は、70歳の哲学者にして大学教授のS・T・バウムガートナーが詩人で翻訳者でもあった妻アンナとの出会いと別れを回想し
(アンナの遺したエッセイなど、作中作が複数挿入されています)、
自身の死も見つめながら生きる日々を綴っています。

訳者の柴田元幸さんは
「悼むことは21世紀のオースター作品のモチーフでありつづけてきたが、この作品に至ってついに中心に据えられた」
「基本的に淡々としたリアリスティックな小説だが(略)その静かな大胆さは見事」
「さしずめ無伴奏チェロソナタに喩えるのが相応しい」
と紹介しています(MONKEY vol.35より)。
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