できそこないの世界でおれたちは 桜井鈴茂 (著) 双葉社 (2021/4/15)

息子の養育費の支払いに四苦八苦しながらも、コピーライターとして多忙な日々を送る吉永シロウ。

そこそこ幸せのはずが、どうにも心は満たされない。

そんなある日、昔のバンド仲間で今や売れっ子になった男から久々に電話がかかってきて――。

遠く離れた友達、別れた妻、馴染みのバーの店主……様々な人生が交差する中で、シロウはある決意をする。

誰もが抱える孤独にそっと手を差し伸べる「繋がり」の物語。(解説:仲俣暁生)

短篇「大人しか判ってくれない」も特別収録。

「読むたびに焦燥や狂騒が込み上げる。青春に挫折しそこねた大人たちのやりきれなさを他人事とは思えなくて、過ぎ去った日々とこれからの日常に思いを馳せる。うまく負けること、転がることの難儀さ。かつてクラッシュはrebel waltzを歌ったが、桜井鈴茂の描く哀惜はクラッシュよりももっと懐が深い。生きていく日々に少しづつ蓄積されていくままならなさを、この小説は控えめに慈しんでいるようだ。」

「寄せ集めの、素人バンド経験あります。技量も経歴も趣味もバラバラ。それでも一緒にやる高揚感って、どんなボロバンドでも、ある。でも、自分を取り巻くヤバい問題は、ホントは一つも解決してない。素敵なマブダチがいて、世の中、そう捨てたもんじゃない、ってひととき思えるだけ。だから明るく終わるけど、せつない。星5つはラファ君への応援です。」

「「フリーター」という呼称はもはや死語だろうけど、その「フリーター」の成れの果て、すなわち、正規雇用に就かないままに迎えてしまった中年期の、自由ではあるが下層と言わざるをえない生活を、軽薄なのか誠実なのか判然としない独特な語り口で描いている。しいて言うなら「下流中年小説」か。普通に考えれば相当に深刻なはずなのに、この小説の主人公(たち)には悲壮感があまり見受けられない。」


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