気がつけば警備員になっていた。 堀田孝之 (著) 笠倉出版社 (2021/6/28)

高層ビル警備員のトホホな日常の記録

24時間365日、喜びも悲しみも「ビルの中」にあり。

夢に敗れて、挫折を繰り返し、たどり着いた仕事は、「高層ビルの警備員」だった……。

「誰でもなれる職業」と自嘲しながらも、置かれた場所で懸命に働く「施設警備員」の実態を、警備員自身が、愛と憎しみで描き出す。

すべて実話の問題作。

オフィスビルや商業施設で頻繁に見かける「施設警備員」の知られざる仕事内容と、生々しい人間模様を克明に描いた初めての作品。

挨拶しても無視され、お客さんに怒鳴られ、エレベーターが故障し、館内放送ではクレームの嵐……。

それでも私は、今日もビルの中を巡回する。

すべては、家族のために。生きるために。

本文より

この本は、自分の人生を肯定するために書いた。だが、書いているうちに「警備員という仕事」が世の中には全然知られていないという事実に思い至った。
街中で見かける警備員たちは、「警備さん」の名前で一括りにされてしまう。しかし当然ながら、一人ひとりの警備員は固有の人生や思いを抱えながら働いていることを、誰かに知ってほしかった。それは、自分を肯定すると同時に、置かれた場所で懸命に働いている人を肯定することでもあった。
どんな仕事をしていても、大変なことがあれば、喜びだってある。
大切にしていた人間関係が、一瞬にして壊れてしまうこともある。
でも、たとえ「どん底」に落ちても、上を見上げれば必ず青空が見えるはずだ。
本書があなたの仕事や人生において、ほんの少しでも「足跡」を残せたならば、著者として望外の喜びである。

プロローグ こうして私は警備員になった
●その挫折が警備員への第一歩だった
●夢をあきらめて出版業界に就職したものの…
●編プロを失踪し、収入ゼロになる
●ハローワークで「人生甘くみるな」と怒られる
●気がつけば警備員になっていた

第1章 高層ビル警備員、本日も異常なし
★のんびりできない防災センター
★敷地内と敷地外、警備員にできること
★巡回距離は1日10キロ!? 1カ月で10キロ痩せた
★立ち続けるのも警備員の大切な仕事
★警備員は見ている! 監視モニターに映った女のヒミツ
★肉体的にボロボロになる25時間勤務の地獄
★警備員を続けるための「宿題」
★もっとも緊張する仕事解錠依頼って何
★ブロック侵入異常発生!そのとき警備員は
★大パニック!午前4時「自動火災報知機」発報
★真夜中の訪問者たち
★設備さんと清掃さんは警備員の仲間
★エスカレーターとエレベーターの故障は日常茶飯事
★朝のエレベーター誘導が終わり地獄から解放される

第2章 ほとんど苦労、ときどき楽しい警備の仕事
★前職での挫折が警備員になる第一歩
★鍵!鍵!鍵!鍵を1本でも紛失したら死活問題
★名前のない「警備さん」たち
★警備員の腕の見せどころ工事業者との攻防戦
★「お前、いま何してるの?」警備員であることの羞恥心
★警備員の給料
★深夜の公園で号泣していた外国人女性と
★警備員の夜の悪ふざけ
★オフィスビルは不倫痴態
★非常階段でセックスしないでください
★喫煙警備員の究極の選択
★警備員にとって「いい仕事」とは何か
★45階の高層ビルの屋上から眺める東京の絶景

第3章 警備員の知られざる生活ドキュメント
★東日本大震災と警備員
★警備員の食事
★仮眠ベッドが臭すぎて眠れない
★勤務明けの帰りに
★超かわいい女性警備員がやってきた!けれど
★なぜ、警備員には薄毛が多いのか
★出勤簿の勤務時間を書き換える「正社員」たち
★警備員の合コン事情

第4章 さようなら、警備の仲間たち
★大雪の夜に
★資格をとるということは
★ビジネスエリートが教えてくれたこと
★人間の器は警備員への態度でわかる
★お正月に飛び立つ「警備さんの帽子」
★さようなら、愛しの警備員たち

エピローグ 人は何度でも同じ過ちを繰り返す
●ついに書籍の編集者になった
●そして再び、部屋は空っぽになる
●売れない本を量産して会社を潰した
●どんなにがんばっても報われない人生はある
●そしてまた私は、警備員になった

「高層ビルの裏側で繰り広げられている警備員(名前で呼ばれることはない警備さん)の目を通した人間ドラマ。著者の実体験に基づいているため、それぞれのエピソードの描写がリアルで、場面を思い浮かべながら一気読みしてしまった。理想と現実の狭間でもがく一人の人間の物語としても秀逸で、普通なら隠したくなるであろう著者のごくプライベートな出来事も赤裸々に書かれている。どうしようもない人間性を抱えながら生きる姿に共感を覚えた。あとがきで著者は「自分の人生を肯定するために書いた。」そして「同時に、置かれた場所で懸命に働いている人を肯定することでもあった。」と記している。この本は、著者自身への応援歌であり、読者への応援歌なのだと気づいた。」

「どなたかのレビュ-にあるように私小説的な面白さに引き込まれた。ただご当人にとっては辛く苦しい日々の連続であったろうと推察します。一般の人には知り得ない警備員の仕事に時に涙し、驚き、また微笑む、何かドラマか映画の情景が浮かぶようでした。当たり前のことですが、どんな仕事も楽なものはありません。しかしどの仕事でも通底しているのは人間関係だという事をこの本は訴えています。人が他人の尊厳を認めることで大体の事は解決します。この混沌としたコロナ禍の世界の中でも通じる重要なことだと改めて感じました。編集後記にもあるように映像で見てみたい気もしました。」

「自分も職に困ったら警備員になることもあるかもしれない。と思い、何気なしに読んでみた。エロ本編集部から逃げ出して警備員になるプロローグから引き込まれた!知りたかった警備員の仕事内容とともに、「逃走癖」「二度の離婚」「だらしない性」など、作者のクズっぷりが赤裸々に語られている。この本を読めば、「オレはまだまだこの作者よりはマシだ」そう思えるはず。人生につらくなったときは自分よりも下の人間を見たくなるもの。そんなときにオススメの一冊です。バカバカしいエピソードの中にも、」


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