計算する生命 森田真生 (著) 新潮社 (2021/4/15)

古代人が粘土や指を使って数を数えた時代から始まり、デカルトの代数的計算、現代のコンピュータまで、 計算は大きく姿を変えてきた。

手にするスマホは、その歴史が濃縮された存在と言えるかもしれない。

計算はいつでも、人間の認識を拡張する営みだった。

不確かな現実のなかで、確かな認識を得たいという情熱が、計算の歴史を駆動してきたのだ。

「人間が機械を模倣する」計算が、加速し続ける現代にあっても、人は、計算の結果を生み出すだけの機械ではない。

思考し、意味を汲み出し、現実を新たに編み直し続ける「計算する生命」なのだーー。

数学を土台に独立で研究を重ねる著者が迫る、機械と生命の対立を越え、計算との新たな関係が形作る未来とは。

読者を圧倒する壮大な計算史は、教科書では学べない。

そして、歴史を踏まえて、数学や言語から、今日的な環境の気候変動まで論じる姿勢は、他に追随を許さない内容となっている。

「著者の「数学する身体」が良かったこともあり読んでみたのですが、本書もとても面白かったです。
哲学と数学の関係や、数学的論理の強さと限界。人が計算結果を遵守するだけの機械のような存在なのではなく、それに対して自律的に応答する生命であること。そして何より、計算という強い力を持つ人類には、地球全体に迫る危機に対処するresponsibilityがあることなど、とてもよく理解できました。
文章も読みやすく、論旨も明快で納得のいくものでした。おすすめです。」


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