中野京子と読み解く 運命の絵 なぜ、ままならない 中野京子 (著) 文藝春秋 (2020/11/26)

「怖い絵」「名画の謎」など多くの人気シリーズを生み出してきた著者が、<運命>をテーマに名画を読み解くシリーズの最新刊。

カバーを飾るのは、ナポレオンの肖像画で名を馳せる以前のダヴィッドが描いた『マラーの死』。

最近ツイッターで人気を博した「#名画で学ぶ主婦業」でも話題になったこの絵(曰く「給食がないので弁当を持たせてください」という小学校からのお手紙を当日朝に発見した図)は、フランス革命で活躍したジャコバン派指導者のマラーの死が題材ということで、世界史好きにもなじみ深いのでは。

現代人の目にも鮮烈な印象を与えるこの名画は、革命後の混乱期に起こった暗殺の現場で、ダヴィッドが「遺体をスケッチして」描いた作品で、発表当時もセンセーショナルに受け止められました。

革命家として名声のあったマラーはなぜ“入浴中に”殺害されたのか? マラーが左手に持つ手紙に書かれた内容は?

なんと犯人は20代前半の若い女性? ……など、絵の背景や細部の情報を読み解いていくことで、<運命のドラマ>がありありと浮き上がってくるスリリングな絵画エッセイです。

そのほか、
「愛人の膝から立ち上がる女は 関係を清算できるのか?」(ハント『良心の目覚め』)

「何もかも思い通りにゆかない、傲岸不遜な画家の生涯」(クールベ『画家のアトリエ』)

「一体なぜ? 古代彫刻にまつわる不運の連鎖」(アルマ=タデマ『フェイディアスとパルテノン神殿のフリーズ』)

「ギロチン台に向かった16人の修道女の行く末は……」(ドラローシュ『ギロチン』)

「仏軍VS スペイン民衆、戦場で流れた夥しい血」(ゴヤ『マドリード、1808 年5 月2 日』)

など、世紀を超えて魅力を放つ名画を深く知ることのできる17篇を収録。

絵画31点はすべてオールカラー掲載、主要絵画19点は引き出し線の入った詳細解説入り。

見開きにまたがる絵も途切れず見られる製本の工夫を加えました。美しい絵と、絵に秘められた<運命のドラマ>をご堪能下さい。


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