千年鬼 西條奈加 (著) 徳間書店 (2015/8/15)

森で暮らす小鬼は、弟を探して迷い込んだ少女・民と出会う。

過去見の術を使って弟がいた過去世を見せるが、その為に民は錯乱し、身内に『鬼の芽』を生じさせた。

鬼の芽は、破裂し、非道を働けば、地獄に落とされ、現世へ二度と戻れない。

だから小鬼は、生まれ変わる度に生じる鬼の芽を、千年にわたって、摘みとる業を自ら望んで背負うことに……。

人の心の機微を、気鋭の著者が描く、ファンタジー小説。

「とても優しく哀しいお話です。読後はじぃんと心温まるいい作品だと思います。幾つかのエピソードが1つの物語を作りあげている形式です。読み進めるごとに少しずつ明らかになってくる事情、小鬼の状態の変化、完全に独立しているのではなく密接に繋がっているお話です。その為に似たり寄ったりのエピソードになってしまっているのが唯一の残念な点だと思いました。しかし、この優しく哀しい印象を壊さないためにはこれでいいのではとも思います。この物語の中に何か一つでも強烈にインパクトのあるエピソードがあったら、せっかくの優しい印象が台無しになってしまう気がします。」

「心に芽生える鬼の芽を摘むために三人の小鬼がやってきます。過去に飛んで、忘れていた大切なものを見せられ、鬼の心を捨てる人間達。最後に、なぜ小鬼がそんな事をしているのか、本当は誰なのか明かされますが、それは悲しく切ないもの。悲しいけど、最後に救いがあって良かったです。この作品、ジブリでアニメ化しないかな・・いかにも、と言う感じなんだけどな、と思いました。」

「過去を見せてくれる小鬼。少しずつ明かされる小鬼の事情が、素晴らしい。それぞれのお話は、独立していながら繋がっていて、そこがまたいい感じです。過去を見ることで、それぞれの登場人物が変わっていく過程が哀しいながら希望がある。本当は、知らないで生きていく事も出来るであろうけど、過去の現実を知る事でより良い強い人生が送れていくんですね。」


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