イクメンの罠 榎本博明(著) 新潮社 (2022/1/15) 858円

子供が3歳になったら、“イクメン”を卒業して“父親”になりなさい。

鈍感、不真面目、頼りない―――。ここ数十年、子ども達の父親に対するイメージは悪化し続けている。

「父親は厳しかった」と答える割合は低下し、「よくほめられた」と答える子どもが増えているにもかかわらず、この結果。

上辺だけを真似た欧米流子育ての導入は、日本の家族をどう変えたのか。

イクメンブームが加速する中、教育心理学者である著者が、父性機能の低下と自立できない子どもの増加に警鐘を鳴らす!

(目次)

はじめに

第1章 イクメン「ブーム化」「義務化」への4つの疑問
厚労省発の「イクメンプロジェクト」/「育児しない男を、父とは呼ばない」/男性育休取得率は
わずか数%/防衛省・宮内庁・警察庁の「低さ」の意味/「父親がいない家庭」は失格なのか?
父親の関与による母親のストレス軽減効果/1歳になるまでに必要な育児/子どもが親から得る自己効力感
「基地」があるから、冒険できる/高まる母親から父親への不満/二人で同時に取り組む弊害

第2章 弱まる父性機能、強まる母性機能
妻の要求に応えられる職場ではない/父性機能を発揮しない父親/母性原理と父性原理
スズメやカモに出会うとつい…/育児に親の性別は関係ない?/父親は母子間に距離を取らせる
「文化的存在」/『どろろ』に描かれた父親像、母親像/文化的存在であるがゆえに脆弱
社会化は父親が担っている/母性の暴走を止めるのは父性/イクメンから父親に進化せよ

第3章 小学生の暴力行為と嫌われる父親たち
小学生の暴力と小1プロブレム/非認知能力の低さが意味するもの/親の学歴や収入が高くなくても
「父親から怒られた記憶がありません」/「使えない人材」一直線/「厳しくない」のにイメージ低下
母の感情は子どもに伝わる/母親には二つの選択肢がある/「三権分立」の力関係/「父親は遊び相手ばかり」は
見当違い/友達と遊ぶための基礎作り/半数が昆虫採集をしたことがない/待つことができない心理

第4章 日本の父親は子育てをしなかったのか
パン屋の親父、酒屋の親父/江戸時代の子育ての責任者/「我儘に曲がりくねるなり」/日本神話が示す
母性の強さ/「姑息の愛」/福田諭吉が説いた「父たる者」/娘を突き放した森鴎外/「立派な父親でした」
「一生の心の糧となる幼年期の記憶」/「父が父の役割を果たしていない」/「らしさ」を自覚する効用

第5章 子どもを鍛えられるのは親しかいない
親子一緒にアイドルコンサートへ/「ものわかりのよい親」が危ない/厳しさへの耐性/鞭でしつける欧米、
言葉で言い聞かせる日本/「ほんとうに進歩なのか?」「笑われるぞ」という戒め/集団遊び、地域社会の喪失
「先生、私たちを本気で叱って下さい」/面倒見の良すぎる大学/「社会に出ることが怖いです」
「傷つきにくい心」を目指して/学生たちの本音を聞く/家庭を楽しく保ち、かつ叱る父親

第6章 子どもが3歳になったら、このように導く
必要なのは「コツ」「テクニック」ではない/父親たちの「板挟み」ストレス
「叱ると子どもにトラウマ」を信じるな/日頃から気持ちをつなげておく
〈約束1〉挨拶をすること、お礼を言うこと/〈約束2〉我慢をすること
〈約束3〉簡単に諦めないこと、粘ること/〈約束4〉相手の気持ちを想像する習慣をつけること
〈約束5〉いろんな友達と遊ぶこと/〈約束6〉結果を気にせず挑戦すること
〈約束7〉読書習慣を身につけ、好奇心をもつこと/〈約束8〉働く姿を知ること見ること、知ること
息子に導入した「ウルトラマン教育」/「頑固オヤジ」の出番/娘の告白

あとがき

著者について
榎本博明(えのもと・ひろあき)
一九五五(昭和三十)年東京生まれ。心理学博士。東京大学教育心理学科卒業。
東芝勤務後、東京都立大学大学院へ。大阪大学大学院助教授等を経てMP人間科学研究所代表。
『ほめると子どもはダメになる』『伸びる子どもは○○がすごい』『自己肯定感という呪縛』など著書多数。


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