スルガ銀行 かぼちゃの馬車事件 大下英治 (著) さくら舎 (2021/2/6)

2018年に世間を騒がせた「スルガ銀行不正融資事件」は、被害者約250名が抱える不動産担保ローン合計残高約440億円をスルガ銀行(沼津市)が「帳消し」にするという、金融史上前例のない解決となった。

事件の裏にあったのは、スルガ銀行と不動産業者や仲介業者が共謀して土地代や建築費を水増しした上、不正融資でシェアハウス「かぼちゃの馬車」を購入させるという構図。

そして業者が経営難に陥った結果、オーナーはひとりにつき1億円以上の債務を負わされたのだ。

自己破産する者、自殺する者もいるなか、生きる道を探そうとひとりの被害者が立ち上がった。

「おれたちはすでに経済的に死んでいる。これ以上何を恐れることがある」

彼は仲間を集めて被害者同盟をつくり、凄腕弁護士・河合弘之氏に依頼、スルガ銀行を相手に闘う決意をする。

河合弁護士の発案・指示のもと、同盟のメンバーによる本店・支店前でのデモや株主総会での直談判などが行われ、次第に揺らいでくるスルガ銀行の牙城。

勝てる見込みがないと言われた地銀の雄・スルガ銀行を相手に、代物弁済という借金帳消しを勝ち取った男たちのノンフィクション。

「テレビや新聞などで時々話題になってて、第三者がよく解説をしていたが、情報が断片的でわかりにくいものが多かった。この本は当事者目線で書かれており、当事者がどのような思いの中で、業者や銀行の口車に乗せられてしまったのかという内面の事情から、解決のスキームまでが物語のように描かれていて非常に理解しやすかった。全323ページというかなりの分量の本だが、引き込まれて一気に読めてしまった。」

「この事件、以前から多くの人が投資は自己責任と言ってたようです。しかし、本書を読むと銀行と不動産会社がグルになって詐欺的スキームを作っていたということがよくわかりました。泥棒や事故の被害者も、本人に注意が足りなかったと言うこともできますが、悪いのは泥棒、事故の加害者の方です。不動産屋には怪しいところがあるかもしれませんが、銀行を疑うという人はいなかったでしょう。これが100%自己責任なら、スルガがこういった「手打ち」に応じることはなかったでしょう。しかし、銀行が信じられなくなったら、どうすればよいのでしょうか。」

「銀行が人を騙すなんてあり得ないと思って読みましたが、実際に起こったことなのですね。残念な気持ちと驚きの気持ちです。正直、何が被害者なのかわかりませんでしたが、この本を読んでよくわかりました。行員さえも信じてはいけない時代だと思いましたので、融資を受ける際には注意します。P143は、涙無くして読めませんでした。」


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