青い壺 有吉佐和子 (著) 文藝春秋; 新装版 (2011/7/8) 781円

無名の陶芸家が生んだ青磁の壺が

売られ贈られ盗まれ、

十余年後に作者と再会した時――。

人生の数奇な断面を描き出す名作!

シングルマザーの苦悩、すれ違う夫婦、

相続争いに悩む娘の言葉を聴いてドキリとする親…

人間の奥深く救うドロドロした心理を

小気味よく、鮮やかに描き出す絶品の13話!

第一話
青磁ひとすじに制作を続ける陶芸家の省造。ある日デパートの注文品とともに焼きあがったその壺は見る者を魅了した。

第二話
定年後、家でぼんやりする夫を持てあました妻は、世話になった副社長へのお礼にデパートで青い壺を買い、夫に持たせた。

第三話
副社長の夫の部下の女性と、甥っ子を見合いさせるため二人を自宅に呼んだ芳江は、今どきの人たちに呆然とする。

第四話
青い壺に美しく花を生けようと奮闘する芳江。孫を連れた娘の雅子が急に帰ってきて、婚家の醜い遺産争いを愚痴るのだが。

第五話
老いて目が見えなくなった母親を東京の狭いマンションに引き取った千代子。思いがけず心弾む生活だったが……

第六話
夫婦ふたりで、戦後の焼け跡から始めたこじんまりとしたバー。医師の石田は、「御礼」と書いた細長い荷物を置いて帰った。

第七話
息子の忘れ物としてバアのマダムが届けてくれた壺をみて、老婦人は、
戦時中の外務官僚だった亡き夫との思い出がよみがえり、饒舌に語りだす。

第八話
長女が嫁ぎ、長男はアメリカに留学。姑は他界したある日、夫にレストランに誘われ……

第九話
女学校の卒業から半世紀、弓香は同級生たちと久しぶりに京都で集まる。戦争を経て子育ても終えた彼女たちは、家庭の状況も経済状態もそれぞれで……。

第十話
母校だったミッションスクールの初等科に栄養士として就職した、弓香の孫娘の悠子。野菜を食べさせたいと工夫を凝らすが、ある日…

第十一話
世話になったシスターが45年ぶりにスペインに帰郷するときいた悠子は、青磁の壺をプレゼントする。壺はついに、海をわたる!

第十二話
スペイン旅行中に急性肺炎になったという入院患者の男は、病室に飾った青い壺に触られそうになると、怒鳴るのだった。

第十三話
高名な美術評論家を訪ねた陶芸家の省造。スペインで見つけた「12世紀初頭の」掘り出しものとして、青い壺を見せられたが……。

解説 平松洋子

「今年は、有吉佐和子さん没後40年ということで「青い壺」が最ブームになっているそうです。
有吉さんの作品は「悪女について」しか読んだことがなかったので、これを機に手に取って
みましたが、これほど面白い作品とは思ってもみませんでした。
無名の陶芸家「省造」の焼き上げた青磁の壺が、約10年の間に、様々な持ち主の手に渡って
いく中で、各個人のドラマチックな背景を覗き見ることが出来るという連作短編集です。
最終章の第十三話で、作り手の「省造」は思いがけない所で、自分が作った「青い壺」と
再会できるのですが、相手は絶対にそれを認めようとせず、彼を追い返してしまいます。
そのやり取りが何ともいえず滑稽でもあり、切なくもありました。
有吉さんの書かれる文章は品性があって、非常に読みやすいです。」

「今になって、何故こんなに人気が出たのか。帯の効果なのか。それにしても、有吉佐和子の書く金持ちは説得力がある。テレフォンショッキング、見たかったな…」

「有吉佐和子氏の作品を初めて読んだ。13の短編の中に、様々な人生模様が、連作として描かれている。どの話にも、テーマの「青い壺」は出てくるが、主役は人。情景が浮かんでくる「ありふれた会話」「何気ない会話」「場面の描写」、読みながら上手いと思った。古典落語のような感じなのかもしれない。有吉佐和子氏は凄い作家だ。面白かった。」


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