昏色に彩られし悪魔の文業――
芥川賞に輝いた第一作以来、作品ごとに文体を変幻させてきた《小説狂》作家による高踏的、唯美的、反時代的な、幻想文学の金字塔!!
《狂躁の夜、悪魔の筆を藉り、これらの小説は書かれた》
初出時の3倍に改稿された耽美的・象徴主義的な表題作「昏色(くれいろ)の都」170枚に、極限地の中洲でただ独り夢現のあわいを行き惑う幻想紀行譚「極光」、零落散逸した古漫画の記憶に遠い幼少期を幻視する瘋狂小説「貸本屋うずら堂」の2編を併録。
文体や世界観を全く異にする鏤刻の3編。《夜ごと悪魔の筆が紡がせた》畢生の記念碑的小説集。
――低い冬の陽が平原を黄金に透き、雲と地平、幾百年変わらぬ廃都ブリュージュの翳を紅に焦がし、日々わたしの眼裏に燃え落ちてゆく――
『文學界』5月号 諏訪哲史「昏色の都」読了。翳りを帯びた緻密な文体で書かれたこの短篇小説には中世の端麗な絵画のような雅趣がある。晴眼者の作者が生まれながらにして盲目の主人公が手術で開眼し視覚という知覚を得たときの事物を捉える違和を描ける小説家が有する靱やかな想像力に考えを巡られた。 pic.twitter.com/MAnNOIoJZ9
— 20220607 (@eternel_azur318) April 27, 2023
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