伸びる子どもは〇〇がすごい 榎本博明(著) 日本経済新聞出版 (2019/10/9)

●仕事に不適応な新人社員

注意されるとすぐに落ち込んでしまう新人。

場合によっては翌日から仕事に来られなくなるケースも。

一方で、注意に反発し、仕事の改善が見られないケースなども発生。

どうやって接すればいいのか、悩む上司なども大量に発生している。

新入社員になる以前に、小学校の現場では、暴力事件が急増中。

子ども同士のコミュニケーションも変調を来しているのだ。

中学受験を目指すなどの早期教育は効果はあるが、その効果は一時的なもの。

さらには、今の子どもは友達と遊んだり、自然と触れ合ったり、いろいろ冒険したりして、主体性や多様性を身に付ける機会が減っている。

本書では、本来身に付けるべき子どもの教育について、親の立場、会社で指導する立場から見る。

●自己コントロールなどの「非認知能力」が求められる

2000年にノーベル経済学賞を受賞したヘックマンも、40年にわたる研究で、早期教育が知的能力を一時的に高める効果については認めている。

しかし、それだけが学歴や収入という成功に結びついたわけではないと結論づける。

現に認知能力(知的能力)に関しては、8歳の時点で効果は失われている。

だが、成人後のデータを見ると、早期教育を受けたものの方が、学歴も年収も高くなっていた。

協調性、忍耐力、やる気などの非認知能力がその後の成功のカギを握る。

そのためには子どもへの結論を急がない。ひたすら待つ、一緒に考えるという姿勢も必要になるのだ。

本書は子育てについて、心理学や教育学の最新の知見から語るので説得力がある。

本書は、『ほめると子どもはダメになる』(新潮新書)の第2弾ともいえる内容で、子どもの忍耐力や協調性、自立性の必要性を強く説く。

子育て(幼稚園児、保育園児、小学生)に悩む親世代にとっては、必読の一冊。

「就学前教育でとくに重要なのは、IQのような認知能力、いわゆる知的な能力を高めることよりも、忍耐力や感情コントロール力、共感性、やる気などの非認知能力を高めることであるというのが、本書のテーマです。社会に出て成功するためには、学校でやる勉強を先取りするよりも、非認知能力を幼い頃からどのようにして鍛えるか、エビデンスを示しながら具体が書かれています。「社会に出て成功する」が親心を刺激しますが、あくまでも「結果」であって、「目的」にするのは疑問です。教育論は、とかく右か左の極論になりがちなので、すべてを鵜?みにはできません。「ほめること」と「しかること」など、上手にバランスを取ることが大切だと思います。「最後は信じて見守る」(p219)ことができれば、落ち着くところに落ち着くのではないでしょうか。子育てをしている人はもちろん、保育士や学校の先生もぜひ考えていただきたいと思います。」

「最近の子育てになんとなくもやもやとしたものを抱いている年代としては、とても納得できることが書いてありました。「当たり前」ってのが難しい世の中です。著者の言っていること、恐らく著者自身が実践してきた子育ての仕方は、まあ当たり前といえば当たり前“だった”のかも。今はいろいろな価値観や情報が入り乱れてて、メディアで“これが必要!”と謳われれば流されてしまうのは仕方ないけれど、どんな能力でもそれを伸ばそうとするならば、結局モノをいうのは著者のいう『非認知能力』だと思う。『非認知能力』って何よ!?と思うなら、是非読んでみて欲しい。」

「子供に求めることが多々記載があるが、全て成人にも当てはまる。大人が読んでも為になる本。」


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