韓非子は中国の春秋戦国時代の思想の集大成ともいえる書物です。
著者は韓非であり、その書物が韓非子ということです。
帝王学のバイブルとして、ときの権力者の愛読書となってきました。
権力の扱い方とその保持について説かれているのでまさに帝王学の教科書という内容となっているのです。
この書物は、性善説とは反対に性悪説を基本として書かれています。
性悪という意味は「人の性は悪であり善は欺瞞に満ちたもの」という意味に捉えることができます。
もっとも、「人は弱い存在」ということで、そのまま悪=罪という意味ではありません。
理想論などがもてはやされる現代においても韓非子の性悪説に基づいた現実論は、統治するために成果を出した者にのみ褒美を与え、反対に法を犯すものは厳しく処するという考えで成り立っているのです。
Contents
法律で国を治めること
基本はこういうことですが、紀元前からこの考えが中国にあったことが驚きとも言えます。
すべての人が同じルールの下で生活をするということが述べられていて、現代の万人が平等という考えがすでにこの時代にあったということです。
まず権力を持つこと。君子を説得して取り入ること
権力がすべてであると説いています。注釈として人間は私利私欲の強い生き物だから法律を整備してしっかりとしたチェック機能を持つことが大切となっているのです。
そのためには強い権力が必要ということになります。
利を以って人を使う
これは利益を与えて人を使うということです。愛情を持って人を使うと思いたいところですが、品々などの報酬を与えることが大事と説いているのです。
ものごとは愛情では動かない、これをすれば何か得をする、名誉を得られることで行動に移るという、まさに性悪説の真骨頂と言える言葉です。
父母はたとえ戯れであっても子を欺いてはならない
父母を人と例えてもいいです。人を欺いて言葉巧みに生きることは、たとえ不器用でも誠実に生きることには適わないということです。
韓非の活躍した時代は戦国時代です。まさに裏切りがまかり通った世の中にあってこれはまさに名言と言えます。
事の理によるときは、労せずして成る
原文のままです。理にかなったことをすれば苦労しなくても目標は達成できるとしています。
反対に捉えれば、理にかなわないことをしていれば、いくら苦労しても事は成就しないということです。
これもまさに現代に繋がる言葉と言えます。
まとめ
吃音として喋るのが苦手な韓非が文章で有名になろうとして書いたものが韓非子だとされています。
根幹に「人間の本性は悪である」との視点立ち、そこから帝王たるものが天下を治めるための秘訣を韓非子に著しているのです。
帝王学ということで読む人が限られるイメージがありますが、誰が読んでもその簡潔な文章に引き込まれることだと思います。
起業する、あるいはすでに会社を経営している人にとって必携の書としても特に有名ですよ。
岩波書店 (1994-04-18)
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