近年、オフィス環境を共有できる「コワーキングスペース」と呼ばれる場が増えてきました。
コワーキングスペースでは、異なる職業や仕事を持った人たちが同じ場に集まり、作業場をシェアします。
また、起業のときにオフィスを構えるのではなく、コワーキングスペースを利用するという選択肢も考えられるようになっています。
今回は、コワーキングスペースを利用するメリットについて解説していきましょう。
Contents
コワーキングというワークスタイル
コワーキングとは、個人事業者や起業家、在宅勤務が許可されている会社員、ノマドワーカーといったように、場所の縛りがない環境で働いている人たちによるワークスタイルです。
コワーキングは、2005年頃にサンフランシスコを中心に始まったとされ、日本では2010年頃からコワーキングの概念が広まっていきました。
このコワーキングを支えるのが、コワーキングスペースと呼ばれる施設です。
公益社団法人日本都市計画学会が公開した「都市計画報告集 No.15」(2017年2月)によると、日本全国のコワーキングスペースは378件で、特に関東地方には177件と全体の約47%が集中しています。
さらに、東京には137件と集中しています。
コワーキングスペースで設備を共有することで、経費の削減や利便性を得ることができます。また、共有スペースで生まれる交流により、情報交換や協働などの相乗効果が期待できます。
起業した直後、人員をそれほど抱えていないのであれば、オフィスを構えるのではなく、コワーキングスペースを活用するという選択肢も十分考えられるでしょう。
コワーキングスペースとシェアオフィスはどう違う?
コワーキングスペースと類似の施設に、シェアオフィスやレンタルオフィスがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
コワーキングスペースは、実務を行う場所が個室ではなく、図書館やカフェのようなオープンスペースとなっていることが多いです。
一方、シェアオフィスやレンタルオフィスは個室形態になっている傾向があります。
ただ、コワーキングスペースやシェアオフィス、レンタルオフィスは、厳密に区別されているわけではなく、ほぼ同義として扱われることが多いでしょう。
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コワーキングスペースを利用するメリット
コワーキングスペースを利用することのメリットについて、詳しく見ていきます。
仕事場を低コストで確保できる
コワーキングスペースならば、仕事場を低コストで確保できます。
単独でマンションの1室を作業場として賃貸すると、賃貸料や光熱費、通信設備費などの固定費は、最低でも数万円かかるでしょう。
また、机やプリンターなどの設備への初期費用も、1人だと大きな負担になります。
しかし、コワーキングスペースで作業場や設備を共有することで、固定費を月あたりわずか1万~3万円程度に抑えることができます。
もちろんほとんどのコワーキングスペースで、プリンターなどの設備を共有することができます。
さらに、コワーキングスペースでは、月あたりの料金で利用できるだけでなく、時間あたり数百円から1,000円前後で利用できる「ドロップイン」という利用形態もあります。
周りの目を気にせずに作業できる
コワーキングスペースではなく、カフェやファミリーレストランなどを利用した場合、長時間滞在して作業をしていると、お店のスタッフやほかのお客さんからの視線が気になることがあるでしょう。
中には滞在時間が指定されたり、仕事の作業自体が禁止されたりしているところもあります。
これだと、場所を選ばずに仕事ができるというワークスタイルのメリットがございません。
その点、コワーキングスペースであれば、必要な時間だけ滞在して作業することができ、周りの目を気にするというストレスがありません。
仕事に集中しやすい
1人で仕事をする場合、誰もいない静かな環境が集中力を高めるような気がしますが、実際にはそうでもありません。
むしろ、周りで人の気配があるほうが、集中しやいことがあります。
さらに、1人だけで仕事をしていると、休むことも自由ですし、怠けることも制限なくできてしまいます。
それが、周りに働いている人たちがいると、やるべき作業に集中しやすくなります。コワーキングスペースが、仕事に集中しやすい環境を提供してくれるのです。
新たなビジネスチャンスを作ることができる
1人で仕事を続けていると、他業種や他業界の人たちだけでなく、同業の人たちとの交流の機会も激減してしまいます。
新しい情報をキャッチアップしたり、新たなビジネスチャンスを作ったりすることが、なかなかできません。
しかし、コワーキングスペースで作業すると、多種多様な業種・業界の人たちとの接触機会が増えます。
さまざまな交流をすることで、情報交換やスキルアップ、あるいは新たなビジネスの創出といった機会を得ることができる可能性があるのです。
コワーキングスペースは、交流を促進するために室内のレイアウトが設計されていたり、休憩所を設けたりするなどの工夫があります。
また、コワーキングスペース主催の交流イベントが行われることもあります。
打ち合わせや会議の場所を確保できる
打ち合わせや会議を行う際、カフェやファミリーレストランを利用することもあるでしょう。
ですが、常に人数分の席が確保できない、騒音が気になるなど、不都合が生じやすくなります。
さらに、外部に知られたくない内容であると、安心して話をすることができません。
一方、コワーキングスペースの多くには、軽い打ち合わせ用のフリースペースと、じっくり会議を行うための個室の会議室が設置されているので、打ち合わせや会議の場所を確保できます。
仕事のインフラがそろっている
近年、多くのカフェには、自由に利用できるWi-Fiと電源が用意されるようになったため、仕事をする上でも便利になってきました。
しかし、必ずしもカフェで席が確保できるとは限りません。
その点、コワーキングスペースであれば、自由に使える電源の数がそろっていますし、Wi-Fi環境も整っています。
また、プリンターも自由に使えますので、仕事上のインフラで困ることはないでしょう。
コワーキングスペースを活用しよう
コワーキングスペースは、仕事ができる環境が整っていたり、出会いの場になったりと、さまざまなメリットがあります。
ただし、コワーキングスペースを会社のオフィスとして活用する場合、口座開設や融資で審査にとおりにくいといったデメリットもあります。
メリットとデメリットを踏まえて、ワークスタイルに合わせたコワーキングスペースの活用を検討してみてください。