テロリストの家 中山七里(著) 双葉社 (2020/8/19)

国際テロを担当する警視庁公安部のエリート刑事・幣原は、イスラム国関連の極秘捜査から突然外された。

間もなく、息子の秀樹がテロリストに志願したとして逮捕された。

妻や娘からは仕事のために息子を売ったと疑われ、組織や世間には身内から犯罪者を出したと非難される。

公安刑事として正義を貫くか、父としてかけがえのない家族を守るか、幣原の選択とは―。

衝撃の社会派長編ミステリー!

「もっと面白おかしい内容と思っていた。起承転結の承まではフムフム、転でいきなりのどーん。この社会への怒りと警告に満ちている内容だった。どんでん返しの七里はいつも最後にひっくり返す。今回は予測があたったのでちょっと嬉しい。 」

「①この小説はテロリストの犯罪を描いた小説ではない。家族と親子の関係を描いた小説だ。テロ小説だと思って読んだ読者は失望したかもしれない。
②いじめに遇った妹を救えなかった兄。イスラム国兵士募集に応募しようとした妹。その妹に替わってイスラム国弊社募集に応募し、妹を救おうとした兄。大学院生に就職がないのがという理由だけで、日本社会に憤り、イスラム国兵士に志願するというのはいくらか何でも短絡的過ぎる。
③親子関係に勝る兄妹関係の重みを知らされる。父は公安刑事第3課の敏腕刑事だが、一向にイスラム国の話は進展しない。
こういう小説を〈偽装小説〉という。本当は〈家族小説〉なのだ。これも著者ならではの冴え渡る手法(テクニック)である。
不幸なのは殺された兄だ。
お勧めの一冊だ。」

 

おすすめの記事