彼は早稲田で死んだ 樋田毅 (著) 文藝春秋 (2021/11/8) 1,908円

大学構内リンチ殺人事件の永遠

内ゲバが激化した一九七二年、革マル派による虐殺事件を機に蜂起した一般学生の自由獲得への闘い。

いま明かされる衝撃の事実。

「1972年の11月に起きた革マル派による川口大三郎君の殺害事件のことを詳しく書いてる。私は当時学生でよく覚えている。その前から民青に対するイジメはひどかった。またその年には自治会室からパンツ一枚で血だらけになって逃げていく男が目撃されてる。また川口君が死ぬ前の月にも他の学生が重症を負ってる。早大文学部は凄惨そのものだった。殺害事件後に一般学生と大学当局の話し合いが181番教室で持たれたが、壇上右手にいた新保昇一学生担当主任が開口一番「君たちに責任がある」と怒鳴った。唖然とした。大学の管理責任者が殺人事件の責任を一般学生に押しつけたのだ。警察でも救急車でも呼ぶべきは大学では無いのかと憤然とした。近年、「早稲田学報」で革マル派排除に尽力した奥島元総長が早稲田大学が革マル派に渡したカネは20億円を超えると語っていた。これで長年の疑問が解けた。革マル派を私設警察として大学が雇っていたのだった。」

「私も当時を知る者です。この本は忘れていた記憶を甦らせてくれました。
悲惨な暴力の横行も思い出しました。
暴力を振るっていた田中氏(故人)のその後には、暗澹たる思いがしますが、大岩氏については、樋田氏が面談するまでは自発的に過去を告白・総括することはなかったのか、もし面談がなかったらそのまま隠し通す積もりだったのかと、その姿勢を疑問に思いました。
運動の中心にいた人の回想録にありがちな自己陶酔や上から目線の記述ではなく、たいへん読みやすい文体です。
当時を知らない世代の人たちにも、ぜひ読んでいただきたい本です。」

「「高邁な思想」を隠れ蓑に、平然と殺人が実行された狂気。当事者が多くを語らないなかで、若い世代へ向けて、その事実を書き残そうとする著者の姿勢に共感します。」


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